そんなに驚くことか?
「なあ、レオン」
「はい、なんですか?
ディオン様?」
今夜の宿泊所に戻ったとたんに、ディオンは、ちょうど、目の前にいるレオンを呼び止めた。
突然、主人に呼ばれたレオンは、不思議そうに首を傾げて、ディオンの側に。
「実は、リタ嬢のことが
少し気になって………」
「………えええっ!? 」
「そんなに驚くことか?」
「恋愛にも結婚にも興味がない、女性には興味を示さなかった、あのディオン様がですよ!?
珍しいから、そりゃ驚きますよ!!」
「確かに、自分でも驚いてはいるが…
とりあえずは、彼女の事を調べてみて欲しい。
婚約者や、夫婿の有無も。」
「ええ!はい!
かしこまりました………!!」
「大丈夫か?
冷静に、調べるんだぞ………?」
「だ、大丈夫ですよ!
たぶん………!」
「たぶんなのか………」
「ディオン様!!」
「レオン!?
いきなり、どうした!?」
「リタお嬢様のこと
調べて参りましたよ!!」
「えっ!? 早いな!?
まだ2日しか経っていないのに!」
2日目は、宿泊所で、ゆっくりと過ごした。
なんせ、王都に戻ったら、いつも通りに忙しくなるのだから、今のうちに、ゆっくりせねば。
その休憩中の間、レオンは、彼女の、リタ嬢のことを調べていてくれたらしい。
「彼女のことを調べて、どうだった?」
「リタお嬢様の名は、リタ・イレーヌ・フィン・テ・ディーセレーム・リーンダート伯爵令嬢。
今年で22歳になったばかりのようですね。」
「つまり、俺の3歳年下ということになるな。」
「はい、そうなりますね。」
彼女は、一見、童顔のため、18歳くらいだという可能性もあると考えていたんだが………
思ったより、年齢は近いらしい。
「ディーセレーム………?
母方の血筋は聞いたことが無いな?」
「伯爵夫人は、ディーセレーム男爵家のご息女にあたります。代々、教師の家系ですね。」
「ふむ、なるほど。
母方は、教師の血筋なのか。」
「はい、曽祖母の代から、ずっと。伯爵夫人は、教師に向かない気質の為、嫁入りしたようで。伯爵夫人の妹君が教師として、辺境伯領立学園にて、働いているようでございます。」
「そうなのか、血筋関係なく、向き不向きはあるものだから適材適所だな。伯爵夫人は、貴婦人向きであったのだろう。」
「はい、伯爵夫人は、サラサ夫人のような気質の持ち主なので、辺境伯夫人や、サラサ夫人より目立たないようにしているみたいです。」
「ほう、伯爵夫人は、強かだな。」
「ええ。そのようですね。」




