出会い③
【 プルルルル... 】
電話の着信音に起こされた俺はスマホを手に取り画面を確認した、時刻は夜の10時を過ぎた頃姉からの着信だ。
「 もしもし?... 」
少しだけ不機嫌そうに電話に出た、電話先から賑やかな声がした。
「 あ、もしもし弟くん? 悪いけど晴乃迎えに来てくれない?」
電話に出たのは姉の友達の葵さんだった、いつも大学で姉のお世話係をしているとても優しい人だ。
「 すみません。姉がいつもご迷惑おかけして...今すぐ迎えに行くので場所教えて貰えますか? 」
「 何時もの居酒屋だよ〜じゃあ待ってるね 」
「 はい 」
そう言い俺は電話を切って急いで身支度をして何時もの居酒屋に向かった。
「 寒...今一応春だよな... 」
スマホを手に取り気温を確認する。4月だと言うのに気温は12℃だった、急いで身支度をしたため薄着で来てしまった事に後悔している。
「 あ!弟くん悪いね〜夜遅くに呼び出しちゃって 」
「 いえいえ、こちらこそ何時も姉貴がお世話になっています 」
俺は深々とお辞儀した、どうやら姉は眠ってしまったらしい。
「 今日なんか張り切りすぎていつもより早いペースで飲んでたから潰れるのが早くてね〜 」
「 明日姉貴には説教しときます...おい、姉貴帰るぞ」
俺は姉を叩き起しおんぶする。
酒臭い 、香水と柔軟剤とか色々な匂いが混ざって臭い。
「 あれぇ?晴斗じゃぁ〜んどうしたのぉ〜?」
「 バカ姉貴、さっさと帰るぞ 」
「 えぇ〜やだぁ〜まだ飲むぅ〜 」
「 うるさい 」
姉貴は華奢だが正直重い、太ってる訳では決してない。
ただせめてもの救いが居酒屋と家までの距離が短いっと言う事だ。
「 ん〜...私はまだ飲めるぞぉ〜...」
寝言だ、姉は酔うと必ず寝言を言う癖がある。
初めはびっくりしたが流石にもう慣れた、一時期は危ない男に連れて行かれそうになったが葵さんがそれを助けてくれた。
「 ほら姉貴家ついたからさっさと部屋戻って寝ろ 」
「 は〜い... 」
俺は姉を玄関に座らせそそくさと自分の部屋に戻って行った。
「 はぁ...疲れた明日の授業の準備してゲームでもして時間潰すか 」
明日はこれと言って何も用意するものは無い、取り敢えずスクールバックに筆記用具とファイル、タオルなどを入れ俺はパソコンを起動する。
「 お、彰人のやつもうオンラインになってる 」
俺は最近流行りのオープンワールドRPG ストーリーワールドを起動し、彰人に合流した。