日常③
「 良かったなお前! まさかあんな可愛い白咲さんのお隣になるなんてな 」(笑)
「 良かったのかな?...よかったのか...なぁ彰人 」
「 なんだ? 白咲さんにでも惚れたか? 」
「 多分...これが恋なのかは俺にはまだわからないが…白咲さんを意識していることは間違いないと思う... 」
嘘ではない、多分俺は白咲さんに一目惚れしている。
ちょろい男なのかもしれないがほかの男子も白咲さんのことが好きになっているはずだ。
こんな気持ちになったのはいつ以来だろう...いつ以来?俺は何を言っているんだろう、生まれてからこの方恋心なんて一回も感じたことがない。
いや、感じないようにしていたのかもしれない。
思い出せない、忘れたい、思い出したくないあの時の記憶が少しだけ蘇ってきた。
( 俺は一度好きになった人がいる?... )
わからないことがまだ多い、俺はなぜ恋をしないと決めたのか…そしてなぜ白咲さんに心地よい安心感を覚えたのか。
「 おーい...晴斗!聞いてるか? 」
「 悪い...少し考え事をしていた... 」
「 珍しいな 晴斗が真剣に考え事をしているなんて 」
「 そうだぞ いっっっつもあんなに気だるそうで死んだ目をしているお前が今だけはまるで水を得た魚のように生き生きした目をしてるんだからな 」
「 珍しいよね~はるくんが考え事なんて...もしや天変地異が起こるのでは!? 」
「 イテッ ちょっとはるくん!女に子の頭たたくとか酷い! 治療費100万!」
「 いや...だって朱里が変なこと言うから 」
「 ドンマイ朱里 」
「 あっくんまで!?」
やはりHR後、白咲さんの周りには人だかりができていた。
俺も少し話してはみたかったが少しばかり勇気が出なかった、目で追いかけることだけで精一杯だったからだ。
( やっぱり気のせいだな...あの記憶 )
今日の授業は先生の自己紹介とオリエンテーションだけで終わった。
「 晴斗この後空いてるか?」
「 放課後なら空いてるよ 」
「 じゃあ打ち上げいかね?」
「 なんで?」
「 いや だってクラス同じになれたし高2始まったぜ~的なことしたいじゃん?」
「 まぁ...いいけど?」
「 じゃあ決まりな!場所は...マスクドッナルドでどうだ?」
「 朱里も行きたい!」
「 朱里も来るか?okわかった 」
「 うん!」
「 それ...私も一緒していいかな?」
「 白咲さん?...まぁ俺は構わねーけど...晴斗,朱里は平気か?」
「 俺は...いいと思うよ 」
「 朱里は大歓迎だよ!ねぇ!はなちゃんって呼んでもいい!?」
「 え...えぇむしろその方が嬉しいですけど… 」
「 やった!はなちゃん今日からお友達だぁ~!」
「 悪いな白咲さん こいつこういうやつだから大目に見てくれ 」
「 いえいえ...むしろ妹みたいで可愛いです 」
白咲さんの微笑みが眩しい...これは周りの男子が間違えなく気絶してしまうな...俺と彰人は大丈夫そうだがクラスメイト男子の半数が天を仰ぎ始めたから相当なものなのだろう...
俺もキュンとはしたがそれ以外は何ともなかった...これから白咲さんと関わっていくにつれて俺の心も動かされるのだろうか...
いや、俺が白咲さんの心を動かすんだ。
そうじゃないと男として示しがつかないからな。
「 それじゃ!打ち上げ件白咲さんの歓迎会するぞ~!」
『 おぉ~!!! 』
俺はこの高校生活を通して人を愛する気持ち、そして忘れようとしたあの頃の思い出を思い出すと...ひそかに決めた。