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01話 帰還

今回から少しずつ異能バトル・魔術バトルがはいりますよ~www

まぁ、誤字・脱字・文法の誤りがあった時はごめんなさい。

「止めてくれ!」

俺――緋宮慧はタクシーの運転手に声をかける。

「まだ、目的地ではありませんよ」

「かまわない、少々気になる……、いや、用事かできた。ここで降ろしてくれ!」

 問いかけるドライバーに万札を突き出し、釣りを受け取って車を降りる。

 まだ、目的地でもないのにタクシーを降りた理由は、不規則な力の流れを感じたからだ。

 ……近いな、それにこの感じ炎術師。緋宮の系譜か?

 早足で歩きながら思考を高速で回転させる。この辺り一帯は十三家の中でも緋宮家とそれに連なるものたちの管理地だ。それに炎の気配を感じた、炎術師が出てきているのは間違いないだろう。


 やがて、目の前に廃墟が現れる。

「これは……」

 思わず絶句してしまう。

 建物からは信じられないほどの密度の瘴気を感じる。

 先ほど感じられた気配から考えるに、中位の炎術師が二名。けして戦力としては低いわけではないが……、これほどの瘴気を発する相手では正直危険だろう。

 片目をつむり、意識の網を廃墟に向けて伸ばす。

 中を調べるためだ。

 ……。

 ………。

 …………!

「チッ」

 盛大な舌打ちとともに走り出す。

 意識の網に引っ掛かったのは上級に近い妖魔、傷つき倒れた炎術師、そして仲間を庇い妖魔と対峙している炎術師、だ。

 正直、炎術師、それも緋宮の系譜に連なる術者なんて助けたくもないが、気づいてしまった以上放置するのは気が引ける。


 たどり着いた現場で見たものは、凄惨なものだった。

 倒れた炎術師には、人体に必要なパーツが幾つか欠けていた。妖魔と対峙している炎術師も満身創痍。二人とも生きてはいるが、五体満足とは程遠い状態だ。

 ……あれは、確か朱藤家のお嬢。

 今、戦っている炎術師に見覚えがあった。確か……、分家頭、朱藤家のお転婆娘、朱藤澪だ。家を出奔する前に何度か会っている。多くの人間が自分を馬鹿にする中、数少ない味方だった人間だ。

 次に妖魔に意識を向ける。

 全長は二メートル前後で、人間と同じ体形をしている。しかし、顔が少々不気味だ。全体的には肌が枯れて黒っぽく、両方とも白目だ。何より口中から覗いているのが舌や、ましては歯でもなく、眼だった。

 正直、あまり見目麗しいものではない。


 ……さて、どうするか?

 今の自分はこの世界に存在していない(・・・・・・・)。ゆえに誰からも観測されず、干渉されない。

 早い話、炎術師も妖魔も両方とも自分の存在に気づいていないのだ。

 自分が使う力の一端だ。

 この後の行動を考えていると。

「カハッ……」

 澪が血を吐いて倒れた。


 妖魔の方に駆けながら、急いで自分の存在確率を引き上げる。

「破ッ!」

 駆け抜けた勢いをそのまま利用し、相手の胴体に気を込めた掌底を打ち込む。

 ドゴンッ!

 妖魔が大きく吹き飛ぶが、それを無視して倒れた二人を抱えて一端距離をとる。

 咄嗟の行動だった。

 おれ自身驚いている。

「誰……?」

「……、動けるか?」

 澪が弱々しく尋ねてくるが、それを軽く無視して逆に尋ねる。

 少しの間逡巡するが、結局目の前の人間の質問に答えることにしたらしく。

「ごめんなさい、ちょっと無理かも……」

「そうか」

 それは、そうだろう。

 たった今倒れたばかりだ。しかも大分血を失っているらしく、顔が真っ青だ。

 しかし。

「あなたは逃げて。これは私たちの問題よ。関係ない人を死なせたくはないわ」

「……」

「大丈夫、動けなくても足止めぐらいはできるわ。それにもうすぐ応援が来てくれる。」

「……、死ぬ気か?」

「……」

 顔をうつむけてしまう。

「……」

 ハァ……。

 思ったより大きなため息が口からこぼれる。

 しかし、ため息とは裏腹に、……自分のやるべきことは決まった。

「しょうがない、借りを返す。昔の借りだ」

「え?」

 目の前の女性から、少々間抜けな声が出る。

 当然だ。

 突然乱入してきた、見知らぬ男からいきなり、「昔の借りを返す」と言われたら誰だって驚くだろう。

「え、え?借り、ですか?」

「思い出せないならそれでいい」

 そのまま澪を横たえると、妖魔の方に歩いていく。

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 後から呼び止める声が聞こえるが、それらを一切無視する。

 ……まぁ、ひとつやるか。

 体内で気を練り上げ、同時に懐から緑色の宝石のついた短剣を取り出す。


 妖魔との距離が十メートルを切った時。

 ケタケタケタケタケタケタケタケタケタ。

 あざ笑うような声が聞こえ、次の瞬間。

 ゴウッ。

 寸前まで自分のいた場所を妖魔の腕がなぎ払っていく。

「流石に、早い」

 だが。

 反応できない速度でもないし。十分かわせる。

 ……いける!

 しかし、次の瞬間。

 ゴウッ、ゴウッ、ゴウッ、ゴウッ、ゴウッ。

 両腕が鞭のようにしなりながら次々と襲ってくる。

 それを間一髪でかわしながら反撃の隙をうかがうが。

「これは、めんどくさいな!」

 隙がない!

 縦横無尽に振るわれる腕を交わしながら相手に接近するのは至難のわざだ。

 当たれば、相当なダメージがくる。

 最初に倒れていた炎術師はおそらく、これを防御しようとして……。

 くそっ、時間が無いのに!

 先ほどの澪の言葉では、応援が来るという話だが。

 これほどの相手だ、おそらく緋宮本家の者が来るかもしれない。

 今はまだ緋宮本家とは顔を合わせたくはない。

 ……。

 しかたない。手札はなるべく隠しておきたいのだが……。



 ~朱藤澪~

 澪は泣きそうな想いでその光景をみていた。

 男は正直強かった。目の前の妖魔と互角に渡り合っているのだ、おそらく自分たちよりは遥かに強いだろう。

 だが、妖魔にはあれ(・・)がある。

 あれが出てしまう前に!

 しかし、その願いは通じなかった。

 妖魔が口を大きく開く。

 ッ、あれは!

「その光を見ちゃダメ!動けなくなるわ!」

 叫ぶが、遅い。

 次の瞬間、妖魔の口の中にあった眼から紫色の光が放たれる。

 男の動きが瞬間止まる。

 ケタケタケタケタケタケタケタケタケタ。

 妖魔が嗤いながら腕を叩きつけた。

 澪は絶望を感じながらその光景を見つめるしかなかった。

 ……しかし。

 妖魔の腕が当たる、と思われた次の瞬間、彼女は信じがたいものを見た。

 男の体が虹色の光とともに消え、妖魔の背後に現れたのだ!

 瞬動術や縮地のような高速移動術ではない。

 文字通り、空間から別の空間へと跳んだのだ!



 ~緋宮慧~

 視界がコマとばしのように飛んだ。

 自分の実行したことが成功したことを理解し、同時にもうひとつのことを実行する。

「おおおおッ!」

 握っていた短剣を相手の背に突き立てる。

 そのまま、叫ぶ!

解放(リリース)!」

 ガガガガガガガガガガガガガガガガッ!

 次の瞬間、解放された高密度の魔力と暴風に体内をズタズタに引き裂かれ、削られ、妖魔は消滅した。


「フウ……、金縛り食らったときは流石に焦った」

 ぼやいて短剣をしまう。

 ……後は説明だな。

 こちらを見て口をあけたまま固まっている澪を見て苦笑する。

「終わったぜ」

「……あ、え?あ、うん」

「今、目の前で起きたことは内緒の方向で頼みたいのだが」

「え、あ、う?」

 相当混乱しているようだ、面白いからもう少し見ててもいいが、緋宮本家の連中とは顔を合わせたくない。

「君には昔、一度だけいじわるなやつらから助けてもらったことがあったからな、そのお返しだよ」

「え?」

 ますます混乱している。

 このままわからないのもかわいそうだし、ヒントぐらい出すか。

「五年前の秋ごろは世話になったよ、……じゃあな」

 そう言って、出口に向かう



 ~朱藤澪~

 男が去って十五分くらいたって、救急車や緋宮本家からの応援が来た。

 既に妖魔が消滅していたりして、いろいろ聞かれたが、「気絶しているうちに妖魔は消滅していた」といって男のことを誤魔化した。

 ……

 「五年前の秋ごろ……」

 実は、心当たりがない……わけではない。

 ただ、それは記憶の中の少年と、目の前にいた男――青年があまりにも違いすぎるため結びつかなかったのだ。

 だが、よくよく思い出してみれば面影が重なる。

 こころの中に温かいものが宿る

「……そうか、帰ってきたんだね……慧君。……おかえり」



 ~緋宮慧~

 ハックションッッ!

「んん、風邪でもひいたのか?」

 ……

 まぁ、とにかく急ぐとしよう。

 唯衣に報告だ。

 俺は帰ってきたよって!


続きをUpしました。みなさん是非是非、慧君のチートっぷりを笑ってください!

何度も言う!自分は厨二が大好きだ!!!!


ちなみに、みなさんお気づきでしょうか?現在まででタイトルの「炎の剣と奇跡の物語」の「炎の剣」が欠片も出てきておりません。炎の剣が活躍するのはもう少し先ですwww、もうすこし待って下さいね


さて、次回は少々重い話になる予定です。重い話しのキライなかたごめんなさい。

後、今話で慧君が使った短剣の説明も混ぜる予定です。


では、では~

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