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11話 炎の剣

誤字・脱字・文法の誤りがあったらごめんなさい

「じゃあ、死ねよ。兄さん」

 ……。

 俺――緋宮(ひのみや)(けい)の目の前で炎を展開して、そう宣言したのは……。

 弟の(さとる)だ。

 ここからが正念場。

 いよいよ本領発揮か……。

 腐っても、俺の目の前に居るのは緋宮家次期当主であり、この国、最高最強の炎術師だ。

焔雪崩(ほむらなだれ)

 !

 膨大な量の炎弾が打ち出される。

 一つ一つが野球ボール大の大きさだ。

 しかし数が多く、また。

 ボンッ!

 炎弾が接触と同時に小規模な爆発を起こす。

「くそっ!」

 風を纏って回避行動に務める。

 直撃はまずい!

 直撃以外なら風で炎を遮断できる。

 しかし、この数とこの爆発ではそう長くは持たない。

 ボンッ!

 至近距離で爆発が起こる。

 纏っている風の精霊が悲鳴を上げる。

「まだだよ兄さん、緋閃(ひせん)

 ドシュッ!

 左肩に風穴が開く。

 緋色のレーザーが風の防御を易々と貫通したのだ。

 ぐっ!

 すさまじい激痛に一瞬思考が飛ぶ。

「ほら、次だ!流火(ながしび)!」

 華焔の刀身が薄い炎に包まれた。

 そのまま、華焔を上段から振り下してくる。

 ギンッ!

 ゼビュロスで受ける、が。

 ジュゥゥゥゥゥゥゥッ!

 ゼビュロスを持った右腕に火傷が出来る。

 当然右腕にも風の防御が働いている。

 その上で火傷を負ったのだ。

 ……やはり。

 いよいよ地力の差が出始めた。

「あはは、少しは見直しましたよ兄さん。今ので兄さんの右腕は炭化させるつもりだったんですけどね。それに、……随分立派な武器(もの)を持ってますね。華焔と流火の一撃を受けて、刃こぼれ一つしないなんて」

 聡が上機嫌で言う。

 言っていろ!

 ゼビュロスの刀身を聡に向け、告げる。

解放(リリース)!」

 ガガガガガガガガガガガガッ!

 高密度の暴風と魔力が空間を抉りながら直進する。

 だが。

軻遇突智(かぐつち)

 一言ともに、聡の体が炎に包まれる。

 そして。

 ギギギギギギギギギギギギンッ!

「ここまで、差があったとはな……」

 思わず、そうこぼす。

 聡に直撃したはずの一撃は、一切のダメージを与えることなく消滅した。

 ハハハハハハッ!

 哄笑が響く。

「……ゼビュロスのみで乗り切ろうとしたが、……やはり難しいか……」

 ……左肩は動かないな、右腕も状態良好とは程遠い、全身には無数の切り傷。

「出し惜しみするのは、……無理だな」

 相手に手の内をさらすのは俺の嫌うところだ。

 しかし今回は、そうも言ってられない。

 脳内で存在確率の変動を始める。

「聡。全力で行くぞ」



 ~形瀬唯衣~

 ハハハハハハッ!

 結界の中から響いた哄笑に唯衣は、振り向く。

「慧!」

 だが。

「大丈夫じゃ、慧は勝つ」

 横にいる狐がのほほんと答える。

 くっ!

 唇をかむ。

 正直、中の二人の戦いはハイレベル過ぎる。

 自分では足手まといにしかならないだろう。

 ゆえに。

「狐、慧には手助けして上げられないの」

 一縷の望みを託して問う。

 しかし。

「否じゃ。弟との一騎打ちを望んだのは慧本人。ここでわらわが手助けするのは、あやつの意思に反する」

 慧本人が、そう望んだのならば、確かに手助けするのは失礼に当たるだろう。

 だが。

「慧……」

 ……どうか無事で。


「めんどうじゃのう」

 ドンッ!

 唯衣が悔しそうにしている横で、狐がワンサイドゲームを繰り広げていた。

 元々、狐の実力は次元が違う。

 人間では相手にすらならないのだ。

 十三家の者が、一人また一人と倒れていく。

 唯一。

「やはり、遊び相手になるのはおぬしぐらいかのう」

 皇家の姫が、単身奮闘していた。

 ゼェゼェッ!

 息が荒い、相当苦しそうだ。

 だが、狐相手によく持っている……、そう思う。

 自身が一度、戦ったことのある相手だからこそわかる。

 狐の力は異常だ。

 その異常に食い下がっているのだから、感心する。

 だが。

「いい加減飽いた」

 と狐がつまらなそうに呟き、一言。

(りゅう)

 ドンッ!

 大気の塊が叩きつけられる。

 皇家の姫は吹き飛び、壁に叩きつけられ、……動かなくなった。

 !

 思わず唯衣が。

「ま、まさか!……殺したの……」

 と、尋ねると。

「そんなことはせん。殺しを出してはお主らは怒るじゃろう。わらわは、まだしばらくお主らといたい。ゆえに、おぬしらの流儀にあわせるよ」

 狐が優しい声で言う。

「狐」

 と、感動したように唯衣が呟く。

 すると。

「何度も言うておるだろうに。狐ではない、わらわの名は『咲耶』じゃ。お主もそう呼べ、慧はわらわの事をちゃんと咲耶と呼んでくれておるぞ」

 苦笑しながら言う。

 ……。

 ……そろそろ名前で呼んであげるぐらいはいいかもしれない。

 そう思い、名前を呼ぶ。

「うん、ありがとう。…………咲耶」

 狐――咲耶が優しい笑みと声で「よい、よい」と頭を撫でてくれた。



 ~緋宮慧~

「シッ!」

 聡の太腿を深く切り裂く。

 聡の顔が驚愕に彩られている。

 この瞬間のみ、痛みより驚愕が勝ったのだろう。

 ……それは、そうだろうな。

 確実に切り殺した!

 そう確信できるぐらいに、きれいに一撃が入ったのだ。

 宝刀・華焔に流火を纏わせての一撃。

 上級の妖魔ですら、一撃で消滅する威力はあった。

 人間なら掠っただけで致命傷は必至。

 その上、現在聡は軻遇突智により、高密度の炎の鎧を纏っている。

 ……。

 それら一切を無視して。

 足を切り裂かれたのだ。

 そう、……文字通り一切を「無視」して。

 次の瞬間。

「ギャアアアアアアアアアアアァァァァァアアァァァァァッ!」

 結界内に絶叫が響いた。


「油断大敵だ」

 聡に向かって冷たく言う。

 さらに言うなら。

 俺は正義の味方ではない。

 悲鳴を上げていようと、見逃してやる義理はない。

「フッ!」

 ザシュッ!

 無事な方の足も切り裂く。

「ギィアアアア!足が、足があああああああ!」

 ……醜いな。

 ……俺はかつてこんな醜い男に恐怖し、従っていたのか。

「……」

 無言で近づく。

「ひぃいいい!く、くく、来るなぁ!」

 俺の体を、何十という数の炎弾やレーザーが通り過ぎる(・・・・・)

「なんでだぁ!なんで当たらないんだああああああ!」

 ……。

 ふと、周りを見てみると。

 来客の人たちが驚愕の視線を向けてきていた。

 特に、親父とお袋が顕著だ。

 自慢の息子、一族の歴史の結晶、日本最高にして最強の炎術師。

 それが。

 失敗作やゴミといわれ続けた俺に負けているのだから。

「よいのう!しかし、お主の力は何時見ても、卑怯以外の何者でもないような気がするぞ」

 咲耶がおもしろそうな顔で、そんなことを言う。

 唯衣も目を丸くしている。

 思わず苦笑する。

 ……二人には一応説明しといたんだがな。

 ちなみに、苦笑している今の瞬間も、炎弾やらレーザーやらが俺の体を通り過ぎている。

 ……。

 聡に視線を向け宣言した。

「決着をつけよう」



 ~緋宮聡~

 信じられない!

 僕の持つ力が通用しない!

 余りのことに目の前の現象が信じられない。

 焔雪崩、緋閃、陽月(ようげつ)

 自分の放つ炎が、兄さん(ゴミ)の体をすり抜けていく。

 こちらの攻撃は当たらないくせに、ゴミの攻撃は当たる。

 事実、先ほど軻遇突智が抜けられた。

 自分に近づいてきていたゴミが、視線を回りに向けた。

 ……余裕のつもりか!

 ボンッ!ゴォオオオオオ!ドン!

 !

 やはり、一切の攻撃がすり抜ける。

 と。

 ゴミが宣言してきた。

「決着をつけよう」

 ……殺す!

 ……一切の躊躇も無く、全力で殺す!

 ……。

 思考が落ち着いてくる。

 冷静になったのではない。

 ゴミを殺すという意思の下、思考と感情が統一されたのだ。

 ……。

 使う技は「裂天(れってん)

 緋宮家当主のみに伝わる極技。

 決まれば確実に相手を殲滅する、禁忌の業。

 ゴミを睨み付ける。

「ゴミくせに……、人を見下してんじゃないいいい!」



 ~緋宮慧~

 絶叫とともに聡の体から膨大な量の魔力と炎が放出される。

「ゴミのくせに、消えろおおおお!裂天!」

 裂天?

 考えていると、幾多もの緋色の円が重なるようにして俺を囲む。

 ……これは?

 カァッ!

 円の内側に溶鉱炉のごとき熱量が出現した。

 だが、涼しい顔で思考を続ける。

 ……なるほど、円の内側にいる者を焼き殺すのか……。

 俺には欠片も通用しない。

 どれほどの熱量があろうと、そもそも存在しない者を焼き殺すことはできないのだから。

 ……さて、どう決着をつけようか?

 考えていると。

「兄さんが死んだ後は、唯衣さんは僕の物だ!首輪でもつけて飼ってあげるよ!」

 !……なんだと。

「ハハハハッ!どちらが優秀かを体に教え込んでやる!」

 ……。

「僕に逆らえないように、調教してやるよ!アハハ、アハハハハハハハッ!」

 ……。

 聡に対する怒りが限界を突破する。

 ゼビュロスを懐にしまう。

 ……。

 殺しはしない。

 だが、それだけだ。


 鍵の数は全てで九つ

 相手は所詮人間だ、以前ように二つも解く必要はない。

 自らの内に意識の網を伸ばす。

 自らの内に存在する力に手を伸ばす。

 鍵の一つを慎重に開錠する。

 以前、天狐と戦ったときはなぜか制御ができた。

 だが、今回も制御できるとは限らない。

 鍵を解いた瞬間。

 ドンッ!

 俺の体から紅蓮の魔力が放出される。

 それだけで、聡の裂天がはじけ飛んで消滅した。

「あ?……え?」

 自身が絶対の自信とともに発動した極技を簡単に破られてフリーズする。


 言葉に魔力を込め、祝詞を唱える。

 これは、一つの儀式。

 自らの内に封印されているあれ(・・)を解き放ち、その力を振るうための儀式。

「一の鍵の解放をもって、我は汝を解放する!」

 ドクンッ!

 体内で魔力が増大する。

 !

 ……来るか!

 魔力の暴走に備える。

 しかし。

 ……。

 暴走の兆候は一切ない。

 それどころか。

 ……大人しい。

 体内で膨れ上がっていく魔力は完全に俺の支配下にある。

 ?

 一種の不気味さを覚える。

 だが。

 使える以上、文句は……ない!


「封印より解き放たれし真なる火よ!」

 体中を覆う紅蓮の魔力がさらに増大する。

「天を焦がし、地を支配する焔よ!」

 紅蓮の魔力が、そのまま真紅の炎に変わる。

「森羅万象、一切を灰燼とする炎よ!」

 右手に意識を集中する。

「顕現せよ!」

 来い!俺の力の象徴、名を……

「我は解放する……汝」

 赤より紅く、朱より紅く、緋より紅い、真紅の大剣が顕現する。

「『炎の魔剣(レーヴァテイン)』!!!」


 結界の内外全てが静まり返る。

 唯衣も、咲耶も、聡も……。

 ブンッ!

 炎の剣(レーヴァテイン)を横に一振りする。

 それだけで。

 パリンッ!

 ゴウゥッ!

 最初の音は、結界が破れた音。

 次の音は、俺が剣を振った側に存在していた物体――建物の床や壁など、が消失した音だ。

 その現象を表するなら、昇華。

 あまりの熱量、エネルギー量に固体が、液体を経ずにそのまま気化したのだ。

「覚悟は良いな」


「相当な力と思うていたが、これは……」

 咲耶が戦慄したように呟く。

「よもや、神代の力。それも天地創造の残滓とはのう」

 その一撃を受けて、逃げおおせた咲耶も尋常ではないと思うが。

 ……。

「いくぞ」

 右手に持った、レーヴァテインを振る。

 ゴウゥッッ!

 聡の四肢が、……消滅した。

 それで終りだ。


「ゴミめ!殺してやる!必ず殺してやる!」

 倒れて動けない聡が喚く。

 ……。

「俺に敗れた、という事実を抱えて生きていけ」

 一思いに殺す、など誰がするか。

「形瀬家は二度と緋宮家に力を貸さないだろう」

 十三家専用の義手義足製作は形瀬家の専売特許だ。

「その手足では、まともに動けまい」

 事実、四肢がないのだ。退魔業などもうできないだろう。

「惨めな気持ちで、残りの生涯を過ごせ」

 俺がかつて味わった屈辱を何倍にもして返してやる。

「……」

 今だ、喚いている聡を無視してレーヴァテインに帰還を命じた。

 レーヴァテインは、真紅の光の粒子とともに消え、俺の中に帰っていった。


 全てが終り。

「咲耶。予定通りに」

 咲耶に声をかける。

「応」

 一言、答え。

 カァッ!

 金色の光とともに、獣の姿になった。

 ……。

 表すなら、巨大な金色の狐、だ。

 大きい……、全長で二十メートルはあるか……。

 と考えていると。

「うわぁ、可愛い!」

 唯衣が感極まったように言う。

 ………………………………………………可愛い?

 と。

「見世物になるつもりはないぞ、唯衣よ」

「咲耶!手の肉球、触ってもいい?」

 言うが早い、巨大狐の手に抱きつき始める。

 ……なんか、唯衣の咲耶に対する呼称も、「咲耶」になっているし……。

 ……咲耶の、唯衣に対する呼称も「唯衣」になってるし……。

「わー、ふかふか、ぷにぷに!」

「やめい、唯衣!こそばゆいわ」

 ……。

 目の前に巨大な狐、そしてその巨大狐と戯れているウエディングドレス姿の美少女

 ……一応、五分前ぐらいまでは死闘を演じていたのだがな……。

 なんだろうこのやるせなさ。

 ……。

「咲耶、そろそろ」

 気を取り直して、声をかける。

 すると、咲耶が。

「うむ。唯衣、わらわの背中に乗れ」

 と言って、伏せた。

「え?」

 唯衣が驚いて固まってしまう。

 仕方ないので。

「唯衣、乗るぞ」

 唯衣を抱えて、咲耶の背中に登る。

「OKだ」

 咲耶が立ち上がる。

 ……意外に、高いな。

 最後に、意識はあるのだろうが倒れて動けない十三家の当主たちや親父、お袋に声をかける。

「じゃあな……」

 ……。

 達磨状態で喚いている聡を一瞥すると。

「行こう」

 と宣言した。


 ヒュゴォォォォォォォォォォォォォォッ!

 俺たちの周りを風が通り抜けていく。

 ここは、空の上だ。

 満点の星空が素晴らしい。

 ……。

 わかりやすく言うのなら。

「うー」

 唯衣が目を瞑って、獣状態の咲耶にしがみついている。

「寒いのか?」

 ふむ。

 周囲を風の結界で覆い、気圧や気温などを調整して人間が生存可能な状態にしているはずだ。寒いということは無いはず……。

「違うよ!なんで私たちはこんな高い所を飛んでいるの!」

 そう。

 現在、俺と唯衣は咲耶の背中に乗って、上空一万メートルを飛行中である。

 ……。

 仕方ないので、先ほどから繰り返している説明を、もう一度する。

「俺たちは、もう日本にはいられない」

 当たり前だ。

 十三家の当主達の目の前で緋宮家の次期当主から花嫁泥棒をやったのだから。

「それは、わかるな?」

「……うん」

 唯衣が頷いたので続ける。

「俺たちは間違いなく、賞金首(ブラック)リスト入りを果たしただろう。特に俺と咲耶は下手をすれば先三十年は日本の土を踏めない。唯衣も見つかれば、即緋宮家がちょっかいを出してくるだろう」

 ……というより、本当に下手をすれば「生死を問わず(デットオアアライブ)」だろうしな。

「仮に形瀬家に戻っても美織さん達に迷惑をかけるだけだ」

 緋宮本家に囚われていた美織さんたちの救出だが、なんと分家の朱藤澪が手助けしてくれたのだ。

 本人曰く、「借りを返す。後、本家のやり方が気に入らない」とのことだ。

 ちなみに、今回の騒動の発端となった唯衣の父、丙さんは、救出後に美織さんに制裁されたらしい。風の噂によると離婚届を叩きつけられたとか。

 いい気味だ。

 ……さて、続きだ。

「なら、国外に行くしかないだろう。特にアジア圏以外だ。アジア圏は十三家の影響力が強いからな。わかったか?」

「……うん」

 唯衣が納得したような、していないような表情をする・

「他に聞きたいことは?」

 確認を取る。

「じゃあ二つほど」

 ……ふむ。

「まず、一つ目だけど。今、どこに向かって飛んでいるの?」

 いい質問だ。

「イギリスだ。イギリスに俺が外国修行中に使っていた拠点(ベース)がある。既に連絡も入れてある」

 それに、管理人がいるから今でも十分使えるはずだ、と付け加える。

「わかった。なら二つ目だよ。これ重要」

 ?

 唯衣の言葉に首をかしげる。

 ……行き先より重要?

 生活費のことか?

 それとも、出入国に関してのことか?

 と、思っていると。

 グイッ!

 !

 襟首をつかまれる。

「私が緋宮家に捕まってるって、何時知ったの?」

「……俺たちが仕事から帰ってきて二十分後ぐらいだ。」

 実は美織さんから聞いた話しでは、二人が攫われたのは、俺たちが帰ってくる二時間前ぐらいらしい。

 唯衣達が攫われてから二時間と二十分。

 さらに言うなら、唯衣達が攫われてから俺が乱入するまでの時間は、おおよそ五時間三十分。

 つまり、その差三時間と十分。

「ふーん。つまり……、来ようと思えばもっと早くこれたはずだよね?」

 ……。

「なんで、もっと早く来てくれなかったの」

 ……。

 ……それは……。

 俺と咲耶が二人して黙り込む。

「教えて(にこ!)」

 覚悟を決めて答える。

「国外脱出の計画も考えなければならなかったし、それに…………咲耶が一番いいタイミングで行けって。……俺も聡に意趣返ししたいし、それでもいいかな?っと……」

 ……。

 返答は、無言の蹴りだった。

 ドスッ!

「唯衣……、ウエディングドレスで蹴りを入れるのはどうかと思うぞ」


 そして、そのまま……。

 俺はその日、上空一万メートルから何の装備もなしでダイブするという経験をした。

 ……もう二度とやりたくない。

これで日本編はひとまず終了です。

今話から更新期間が不定期になります。

なぜなら、プロットとして考えていたのが今回までだったりするからですwww

ちなみに次回から人物紹介や語句紹介がはいったりします。そのへんはご容赦を。

予定としては、次話は番外編or幕間の紹介or国外編のどれかですwww


では、では~

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