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そしてヤマ・ビジョル(幸運の女神)である正妃ハシャル・ラーのラタ・ムーア(雨乞いの舞)披露の時。
碧の薄い布地ひらひらとはらはらと、まるで伝説のヤミーナ(天女)のように舞うハシャル・ラーに人々は声もなく。
ハシャル・ラーは艶然と微笑みながら天に向かって雨を請う。
恵みのラー(水)を、この国に。
愛しい人が護る、この国に。
ダイラルマ(神様)、どうか。
…僕がいなくなっても、あの人が幸せであるように――。
わああああ、という声に顔をあげると、晴れ渡った天から虹色の恵みの雨。
人々が天に向かって手をさしのべ、口々にシャハル・ラーを、彼らの王、ペルドュシャーナを称える。
さああ、とふりそそぐ雨に打たれながら、シャハル・ラーは微笑みながら彼の王を。水の幕の向こうの王を、見つめて。
顔を上気させてこちらをみて、歓喜に金と碧の眼を緩ませている王に聞こえぬよう、小さくちいさく呟いた。
「さよなら、ペルドュシャーナ。さよなら…。」