プロローグ
2032年6月7日
ガン という音が路地裏に響いた。
空き缶をその少年が蹴ったせいだった。
靴は白いがそれ以外真っ黒。下半身から上半身、何処を見ても真っ黒な服だ。
顔は整っていて、眼も黒。髪も黒と何処から見ても日本人だった。
少年の名前は赤屋信世。
「くそ、あのブレーン何処行った」
路地裏をただ赤屋は走り続ける。
途中に曲がり道があるが、気にしなかった。
路地裏にブレーンが入る前に傷をつけていたのでテンテンと血の跡があった。
赤屋が前を見ると路地裏を抜けて道路に出ていた。
「やばい、この時間なら人は少ないが誰かが襲われたら・・・ッチ」
そして血がついている左方向を見ると20mぐらい先にヨタヨタとブレーンが歩いていた。
何度見てもその姿に赤屋は慣れなかった。
四つん這いに歩行する生物で、全身ドス黒い赤色の生命体。人の脳と心臓を食べるたびに大きくなっていき、一定量を超えると進化すると赤屋は聞いた事がある。
顔の3分の1はでかい口、目玉は青色とかなり目立つ。
前足は人間の体を開けれるように鋭い爪となっている。
「何度見ても気持ち悪いな」そう言いながら赤屋は手から短剣を出した。
赤屋の能力は手から刃物を出す事ができる。大きさは何処までも大きくすることが可能。
正し使いすぎると貧血になってしまう。血液中の鉄分から作り出しているからだ。
「キャァァァ!」
前方から叫び声が上がった。
よく見ると路地裏から出てきた少女がブレーンを見つけてしまったらしい。
「何でこんな時間帯に一般人が・・・」
ブレーンじたいもう弱っているので後は頭を潰すだけだった。
こんな所で死体が出来ても困るので赤屋は勢いよく走った。
3秒ほどで追いつきブレーンの頭に短剣を刺す。グチャという音ともにブレーンの頭が破裂した。
辺りに真っ赤な血が飛ぶが赤屋は特に気にしなかった。
赤屋が周りを見てもさっきの少女はいなかった。
「そのまま、走って逃げたか?」
一人呟く赤屋だったがすぐにポケットからジリリリリリと携帯が鳴った。
電話に出ると相手はやはり依頼主。
「よく、やってくれたな」
何時も通りの機械音が携帯から聞こえてきた。
「いえ、俺はただ殺しただけです。それより貴方は何で毎回任務が終わったことがわかるんですか?ブレーンを倒すとすぐに電話がかかってくる」
「そんな事気にする必要はないだろう?君は依頼をこなして金を貰えれば十分のはずだ」
(こいつ何処からかやはり見てるのか?)
ふと、赤屋は考えたがやはりどうでもよかった。金さえ貰えればどうでもいい。
「・・・まーいいです。金は何時も通り銀行に振り込んでおいてください」
「わかっている。それでは次の依頼があればまた電話をかけるからな」
「わかりました」と言いながら赤屋は電話を切った。
ブレーンの死体があったところを見ると既に蒸発していて形はなかった。
「そろそろ4時か・・・」
腕時計を見ながら赤屋は呟き、帰路についた。




