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【完結】喰い殺されると聞いていたのに、最愛の番と言われてなぜか溺愛されています  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)


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3.色狂いの女と呼ばれて

「ショックだわ。まさか、信頼していたお姉様が、人の男を夜に自室に招く情婦のような真似をなさるなんて」


「ち、違います! レナード様が急用だとおっしゃるから中に入れてッ……!」


「中に入れて? 私のつがいの男性を中に招かれて、それでどうするつもりでしたの? お姉様?」


「べ、別に何もする気なんかじゃないわ。お話を聞いていただけで……」


「なーに? レナード様からお情けでも頂こうとしていたの? 男なら誰でもいいの? それがたとえ、妹の番の殿方でも?」


妹のイヴリンはそこまで言うと、露骨にさげすみの表情を浮かべて、嘲笑った。それは女が相手を下に見る時にする特有の視線だった。


「番は絶対の存在。様々な幻想種たちが生きる中で、私たち人間の女性はつがいとして見初めてもらえば、一生愛され続ける。そこに例外はない。その殿方に横恋慕して、あまつさえ関係を持とうと部屋に招かれるなんて、そこまで男に飢えているの?」


「だから違う。違うのよ、イヴリン! それに愛人契約をもちかけたのはレナード様からで……」


「あはははは! つがいの私がいるのに、そんなことあるわけないじゃない! 幻想種の男性がいだつがいへの愛は絶対。お姉様だって知っているでしょう?」


「そ、そんな……じゃあ、レナード様はどうして……」


「私の男にまだ未練があるの? 呆れたわ」


「そ、そうじゃない! でも、時々相手をしてくださるって言うから……」


ただ、愛に飢えた私は、月の魔力と彼の赤い不思議な瞳に惹かれて、彼の言うがままにしようと思ったことは確かだ。それがとても後ろめたくて、強く反論できない。


と、その時レナード様が笑い出した。


「はははは! まさかここまでの色狂いのアバズレだとは思わなかったよ。まったく、イヴリンの姉とは思えないほど、愚鈍で愚か。そして醜悪な女だな、お前は!」


先ほどの優しい雰囲気とはうってかわって、嫌悪感をむき出しにしたレナード様がそう私を罵倒した。


「え? え?」


先ほどあれほど愛してくださると言っていた方が……、どうして?


「冗談に決まっているだろう。この僕が完璧な女性であるイヴリン以外に興味を抱くわけがない。特に、お前のような価値のない、愛される資格もない、出来損ないの出涸らしのような女にはな。お前を愛する男など、この世界にいはしまいよ」


「そ、そんな」


あまりの酷い言葉に、思わず涙ぐむ。


だが、その表情を見て、二人はクスクスと嘲笑する。


まるで悪夢。でも悪夢の方がマシ。なぜならこれが現実で、この悪夢はずっと死ぬまで続くのだから。


(いえ、いっそ死んでしまうべきなのかしら?)


私は初めて大罪である自殺について考えた。自殺は大きな罪とされているが、考えずにはいられなかったのだ。覚めない悪夢なら、無理やりにでもその夢を断ちたい。そう深く思ったからである。


「男なら誰でもくわえこもうとするアバズレのお姉様か。ああ、恥ずかしい。そんな姉を持つ私の気持ちにもなって欲しいわ。色狂いの姉がいるなんて、レナード様も嫌でしょう?」


「そうだね。君と結婚した時、こんな女が家族になることは耐えられない。いくら男に愛されないからと、男をとっかえひっかえする不貞の輩を姉と呼ぶのはとても憂鬱だ。イヴリンは素晴らしい女性だというのに、どうして姉のシンシアはこうも出来損ないなのか、理解に苦しむね」


彼らはやはり私の尊厳を根こそぎ奪うように、私を貶める言葉を羅列していく。


「それで、お姉様、人の番をくわえこんで、奪おうとした謝罪はまだかしら?」


罵詈雑言を十分に浴びせられた後、イヴリンが最後に言った。


(奪おうだなんて思ってない!)


でも、これ以上反論しても、更に私の尊厳を奪おうと、二人の罵倒が容赦なく続くだけだ。


(愛されたいと思ったことが間違いだった)


私はそう思いつつ、ろくな思考も出来ないままに、深々と頭を下げた。


「も、申し訳ありませんでした。イ、イヴリンの大切なつがいと関係を持とうとして……。うっ……うっ……」


それでも、最後に残った理性が、そんな言葉を口にさせられた恥辱に嗚咽をもらさせた。


「あらあら、厚かましいアバズレお姉様。人のつがいと関係を迫っておきながら、それを責められて泣くなんて。ほーんと、どしがたい情婦ねえ」


「まったくだ。まったくお前のような女をこの高貴な僕が抱いてやるはずがないだろう? 身の程をわきまえるのだな」


「はい……うっ……ぐす……」


色狂い、情婦、アバズレ、男なら誰でもくわえこもうとする女などと新たな罵倒の単語が加わり、私の尊厳はこれ以上ないほどに貶められた。


恥辱もこれ以上は考えられないほどに与えられて、もはや自分が人間なのか、自信を喪失してしまいそうになる。


でも、夜はまだ続くのだった。


「我が家のシンシアが大変なことをしたと知らせが来たのでやって来てみれば……。シンシア、とうとうこのロレーヌ侯爵家の看板に泥を塗る、とんでもないことをしてくれたな! まさか妹のつがいたる幻想種を誘惑しようなどとは! この恥さらしめ!」


「まったくです。母も母なら、娘も娘ね。親子そろって、人の男を奪おうとするいやらしくて汚らわしい女!」


「これはいつもよりも更に猛省をさせなくてはいけないな!!」


ギルバートお父様と、ドリスお義母様が現れたのでした。

お読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで蔑まれてる主人公は、数多の小説見てきたが中々にないな・・・。
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