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【完結】喰い殺されると聞いていたのに、最愛の番と言われてなぜか溺愛されています  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)


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11.微笑んで良い相手は王様だけ?

湯浴みから上がると、食事の時間とのことで、ブラッドフォード様に連れられて食堂へ向かった。


さすがにずっとお姫様抱っこをされて運ばれるのは、私の心臓がもちそうになかったので、謹んで辞退した。


「ま、まさか俺のことが嫌いになったのか!?」


「ち、違います。恥ずかしいだけですから」


「ふう、それならいいんだが。本当だな?」


念を押される。


とまぁ、そんなひと悶着もあったが、何とか私は自分の足でブラッドフォード様のお城の通路を初めて歩くことが出来た。


すべての通路に厚手の絨毯が敷かれていて、完璧に清掃が行き届いており、塵一つない。


「いつもこれほど奇麗にされているのですか?」


「いや、さすがにこれほどではないな。ただ、シンシアのために城全体を大掃除した。もし、君がこれから住む場所である俺の城が気に入らなくて出て行かれては困るからな」


「えっと、この広大なお城を全てですか?」


「いや庭も含めてだ」


「ええ!?」


庭も含めればもはや目では届かないほどの広大な面積になる。


それを私なんかのために、わざわざ掃除してくれたというのだ。


「そ、そこまでしていただかなくても。あの、出て行ったりはしませんので……」


「そうか? だが、俺の気持ちがそれではおさまらん。侯爵家では余り良い暮らしをしていなかったことは知っている。だからこそ、そんなくだらん思い出を消し去るような場所を君に与えたかったんだ」


「ブ、ブラッドフォード様……。ありがとうございます」


そこまでお考えいただいていたとは思っていなかった。


「気にするな。さっきも言ったが、俺がそうせずにはいられなかったのだ」


そう言って、私に凛々しくも優し気に微笑まれた。


ストレートな気持ちを向けられて、私は照れるというより戸惑う。


愛情を向けられた経験がないから、慣れないのだ。


つい、視線を逸らし気味になってしまう。


そんな私に対して彼は怒ったりはしない。ただ、歯がゆそうな表情をされる。


そんな会話をしているうちに、食堂へと到着した。


「まぁ、凄く広くてきれい……」


長いテーブルにクロスが敷かれていて、給仕が数人立っていた。


「端と端に座ればいいのかしら?」


結構な距離になるが、食事中は静かに食べるのが侯爵家では常だった。


というか、私が発言をすること自体が、禁じられていた。


「いや、俺はもっとシンシアと話がしたい。向かい合って食事をしないか?」


「えっと、宜しいのですか? 侯爵家ではマナー違反と言われて一切口を利かないように躾けられていたのですが……」


「ほう。ちなみに他の家族は会話していたんじゃないか?」


「……はい」


「ちっ。まったく、度し難い連中だな、侯爵家の奴らは!」


たちまち不機嫌になってしまう。


「すみません、ご不快な話をしてしまって」


「ああ、いや、すまない。つらいのは君だったな、シンシア。だが、君を傷つけていた彼らにどうしても我慢ならなかったんだ」


「ブラッドフォード様……」


私なんかのために怒ってくれたことが嬉しくて、少し微笑んだ。


思えば、自然に笑顔を見せたのは、本当に何年かぶりだったような気がする。


すると、ブラッドフォード様が口元を突然押さえられてうつむかれた。少しお顔も赤い。どうされたのだろう?


「あの、ブラッドフォード様、私また、何かお気に障ることを……」


「そうじゃない。まるで魔法だなと思ってな」


「え?」


私が小首をかしげると、彼は言った。


「さっきまでは君を傷つけた侯爵家の連中が許せない気持ちでいっぱいだった。どうしてくれようかとな。だが、君の美しい笑顔を見たら、そんな気持ちが一瞬で吹き飛んでしまったんだ」


「そ、そうなのですか? 私などの笑顔で?」


正直半信半疑だ。でも、


「でしたら」


と、私はもう一度微笑みながら言った。


「私などの笑顔で機嫌を良くしてくださるなら……出来るだけ笑うようにしたいと思います。少し不慣れですが……」


正直、何年も笑っていなかったので、笑い方が少しぎこちないと思う。


「シンシアに『私など』と言わせるようにし、笑い方を忘れさせてしまうような『奴ら』を許すつもりはない。だが、君が笑顔を見せてくれるのは、本当にうれしい。君の笑顔を独占できるように努めよう」


「あ、えっと。ブラッドフォード様にしか笑わないようにした方が宜しいですか?」


「ああ、いや。それはダメか。君にはいつでも笑顔でいてほしい。いや、しかし、俺以外に笑顔を向けるともなると、少し胸がもやもやと……」


うーんうーんと、彼は真剣に悩み始めた。


そして、結局、ほどほどならば、自分以外にも笑顔を向けても良いと許可をしてくださったのだった。


私の笑顔を独占したいという想いには、やはり戸惑いを感じたけど。



さて、そんな会話をしているうちに食事の時間となった。


次々に食事が運ばれてくる。


それらは本当に美味しいお料理ばかりで私はとても驚いたのだった。


(次回へ続く)

お読みいただきありがとうございます。


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