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恋の訪れ?

第三夫人ミリアナが主人公です。

前作を読んでいると賛否あるかもしれません。

大丈夫な方はお進み下さい。

不定期更新となりますが、よろしくお願い致します。

 

 私はハーブルム王の第三夫人ミリアナ。


 昔から淡白で、情熱的な恋愛ごとにはあまり興味が無かった。

 だからたまに一夜のお相手はいても、それはただの運動、ストレス発散なだけで。

 愛を交わし合うなんて以ての外。


 国の宰相家に産まれ、何不自由無く育てられた私。

 豊満な胸にしなやかな肉体。顔も悪くない私は相手に不自由していなかった。


 でも、ハーブルムには私が思うような男性はいない。

 みんな何か女性を飾りみたいに思うような人たちなんだよね。

 陛下はちょっと違うみたいだけど、私の好みじゃない。そもそも幼い頃から一緒にいるし、ちょっと頼りないお兄さん(一応陛下の方が年上だからね)みたいな感じだった。

 父に言われてハーレム入りしたけど、お渡りの時は互いに欲を解消するだけの義務だった。

 だからかお渡り自体、月に数回。

 でもそれで良かった。


 陛下がミアを連れ帰って来た時私はピンと来たの。

 陛下はこの子に夢中だと。

 だからこの子を支える存在になろうって決めた。


 案の定、恋物語のように二人は愛し合う関係になり、ミアは筆頭夫人になった。

 陛下との間に子もできてなお、二人は変わらず仲が良い。


 自分もいつかは愛し合える人ができるのかな、ってふと思う事もあるけど。

 可愛い甥っ子たちの相手をするのもまた楽しいのよね。

 どのみちハーブルムにいる限り出逢いも無ければ恋に落ちる事も無いだろうし。それはそれで人生そんなもんでいいのかもしれないわね。



 なーんて、思っていた時期が私にもありました。



 ミアたちがイーディス国王太子殿下の婚約お披露目パーティーから帰国して三ヶ月が経過する頃。

 イーディスからの外交官が数名やってきた。



「ディーン・オランドと申します」


 焦げ茶のサラサラとした髪、面を上げたその瞳は深い青で私の周りにいないタイプの男性だった。

 数名いる外交官の中でも私の目を惹き付ける。

 ちょっと可愛いオトコノコじゃないの。


 でもその子は陛下の隣にいる筆頭夫人であるミアを見ると凝視して。


「ミ……ア…?」


 微かに唇が動いた。

 ミアも何だか驚いているみたい。ちょっと顔が引きつりかけてるわよ?

 ああ、陛下も異変に気付いたな。あの人結構なヤキモチ焼きみたいだし、ミア頑張れー。


 謁見が終わり、陛下たちも退室した。

 私はミアに先程の事を聞こうと、筆頭夫人の執務室へ向かった。


「ちょっとミア!あの外交官の方と知り合いなの!?」


 ちょっと興奮気味になるのは許してほしいわ。


「えっ、……ああ、ディーンの事ですか?」

「ディーン!!ディーンって言うのね!?」


 早速名前が判明したわ。ディーン様。可愛いオトコノコの名前はディーンと言うのね。

 ミアは苦笑いしつつ、目を瞬かせた。


「お姉様もしかして…」

「ミア、私、恋をしてしまったわ!」

「えええええ!?」


 すごく驚かせてしまったけれど、無理も無いわね。今までそんな素振りは見せなかったし。


「ディーン様はどういった方なのかしら?」


 まずは情報収集よ!


「えー、と、彼とはイーディスにいた時に通っていた学園時代の同級生ですわ。

 当時、彼には婚約者がいて……、その、破談になってしまいましたが……。

 婚約者は可愛くて、雰囲気が優しくて、守ってあげたい感じではありましたけど…」


 気まずそうにミアが答えるけれど、何かあったのかしら。それよりも。


「婚約者………が、いたの……?」


「あ、大丈夫です!大丈夫ですから!今はもう独り身ですよ。多分。じゃなきゃ外交官なんかにならないでしょう」


「……その子の事、忘れられないから外交官になったとかだったらどうしよう…」


 私は両手で顔を覆った。

 勿論悲しいからとか傷付いたからとかではない。


「ナニソレ素敵!やばいわ一途!!報われない恋に身を焦がすとか最高すぎ大好き!!」


 私の琴線に触れたからだ。


「ミア、私、この勘を信じたいわ。絶対ディーン様を落としてみせる。そして降嫁するわよ!」


 私は昔から勘が鋭い。陛下が家に来た時も、陛下がミアを連れて来た時も、直感が冴え渡り父に進言したもの。

 ディーン様にお逢いできたのもきっと運命だわ。


「姉様がいなくなったら寂しいですわ……」


 ミアが不満そうな顔をする。私の大切な義妹。

 するりと頬を撫でると、くすぐったそうに目を細めた。


「んもぅ、貴女って本当に可愛いわ。でも姉様の恋を応援してくれる?それとも貴女も一緒に降嫁する?」


「私にはベルンハルトがいますし。それに、私ディーンはちょっと…好みでは無いので…」


 んー、好みじゃない以外にもナニカあるわね、これは。でも全く興味が無いなら問題無いわ。


「良かったわ!そうと決まれば、早速」

「あ、姉様、多分カラダを使うのはできませんよ」


 外交官たちは暫く宮殿に滞在するらしいから今夜にでもお邪魔しようと思ったのに。


「どうして?」

「ディーンは割と真面目な方なのでグイグイ行けば引かれます」

「私の自慢の武器なのに!」


 自慢のふかふかな胸をたゆんと揺らす。

 これが使えないなら何で勝負したらいいのよ。


「ディーンは……多分、守ってあげたくなるタイプが好きなので」

「私と真逆!!」

「ええ、だから……」


 なにそれ。楽しそう!


「燃える……燃えるわぁ!絶対オトすわよ!ミア、協力しなさい。私の幸せの為に」

「え…えぇ〜〜……」


 あまり乗り気で無いミアに頼み込んで、外交官の接待は私に任せてもらった。


 ディーン様がハーブルムにいる間に仲良くならなきゃだしね。


 私は早速この気持ちを陛下に進言した。


「ミリアナが幸せになれるなら構わない。

 もしだめでもここにいれば良い。ただし、外交官の者には迷惑をかけないように」


 陛下からの許可も頂いた。



 けれど、肉体を使わないやり方以外……。

 どうしたらいいんだろう?



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