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失恋令嬢はハーレム王から愛される  作者: 凛蓮月
結婚する前のこと。
13/53

今日、私はハーレム王と結婚する。

 

 朝はメイドが起こしに来る前に目が覚めた。

 緊張したのか、あまり眠れなかったせいもある。


 入ってきたメイドは一瞬驚いた顔をして、その後は何も無かったかのように準備を始めた。



 顔を洗って、横になってマッサージを受ける。

 デコルテにパウダーを降られると、少しキラキラしてる……?


 それからは宮殿内の式場─ご夫人皆様ここでされたそうだ─の控室に移動する。


「第四夫人様、こちらへどうぞ」


 椅子に座ると、メイク、髪型と施された。

 動くと

「少しじっとしてて下さいね」

 と窘められて。

 髪の毛の先がちくちく頬に当たってくすぐったくて指を伸ばそうとしたら


「掻いちゃダメですよ〜」


 そんな事言ってもくすぐったいのよ〜!


 そんなこんなと格闘しながら仕度に時間をかけ、あっという間にドレスを着て、いかにも花嫁さん、て感じになって。

 鏡に写った自分が自分じゃないみたいで、何だか不思議な感覚だった。


「新婦様、こちらでございます」


 案内役の方にエスコートされ、扉の前に立つ。

 ベルンハルトはもう待っているのかしら。


 何だか変な感じ。

 自分がウエディングドレスを着るなんてあまり想像してなかったかも。



 扉が開かれ、光が差す中を案内人の手を借りて進む。



『急な事なのでミアの両親や友人は呼べなくてすまないな』


『いえ、別れは済ませましたので』


『後日何か贈ろう』


『ありがとうございます』


 船で何日もかけてハーブルムに来たんだ。

 着いて10日後には結婚式。

 追い掛けて来ない限りは間に合わないだろう。

 でも結婚式の招待状も無いのに押しかけるなんて事は非常識だ。

 その辺りは納得してたし問題無い。



『まぁ、もう一度できない事もないから……


 もし、そうなった時はまた結婚式を挙げよう』


『え?』


『……いや、何でもない』



 その時のベルンハルトは様子がおかしかった。

 自分で自分の言ってる事にびっくりしたみたいな。

 でも、もう一度結婚式をできない事もないって、どういう事だろう?


 ……一回離婚するとか?


 そんなわけないよね。

 そんな面倒、あるわけない。

 でも一応気に留めておこうかな。



 案内人のエスコートでベルンハルトの隣に立つ。


 ベルンハルトも白の正装。

 ちらりと見ると、優しくにやりと微笑まれた。

 ……なによ、ちょっとかっこいいじゃない。………衣装がよ。そう、衣装が素敵。

 だからかっこよく見えるだけだよ。


 ちょっと、ほんのちょっと、どきどきするのは結婚式で緊張してるから。



「では、ハーブルム王と第四夫人の結婚式を執り行います」


 目の前の式進行役の方の言葉に、しっかりと前を向く。


「二人に愛の女神、ウルカの祝福を」


 ベルンハルトは神官らしき人から、額、頬、胸、手の甲に聖水を振られる。

 続いてベルンハルトから私に同じく、額、頬、胸、手の甲に聖水を振るのだけど。


 なんと、ベルンハルトは聖水で唇を濡らしたかと思うと、そのまま、額、頬、胸(!)、手の甲に口付けてきた。


 な、なんて事をするの!!

 神官はじめ進行役の方もびっくりしてるじゃない!!


 口をぱくぱくしながら見上げると、目を細めて笑った。

 まるで「何か悪い事でもしたか?」って言ってるみたい。


「んんっ。では、誓いの口付けを」


 すみません神官様、ならびに進行役さん!


「これでお前は正式に俺の妻になるんだな」


 ぼそっと言った言葉に上を向くと。

 そのまま顎を持ちベルンハルトの顔が近付いて来る。


 誓いの口付けはちゅってして終わりなはずなのに。


 ベルンハルトはなぜか深く口付けてくる。

 びっくりして息を忘れ、苦しくなって胸を叩くとゆっくりと離れた。



 ほんと、何なのこの人。

 どうして今までの結婚式でした事と違う事をするの?


 おかげでザラ様から習った作法とか式の流れとか全部吹っ飛んで頭の中はパニック状態。


 心臓はドキドキしっぱなし。

 こんなの、勘違いするじゃない。


 ザラ様、フラヴィア様、ミリアナ姉様。

 誰もこんな結婚式じゃなかったはず。

 どうして私だけアレンジするの。



 特別扱いしないで。


 私だけが特別みたいな、勘違いさせないで。



 だって。


 だって、あなたは。

 あなたには私以外の妻が三人いて。

 私は四人目で。


 妻はみんな平等に愛していると言っていた。


 確かにザラ様達三人は平等かもしれない。

 でも、おかしいよ。

 私だけ態度が違うって変だよ。



 ──嫌だ。

 期待させないで。


 もう『自分だけは特別だ』って利用されたくないよ。


 好きになった人から『特別だよ』って言われて、鵜呑みにして。


 結局失恋してしまった私の初恋。



 また同じ事を繰り返したくないよ。


 だから。


 簡単に私に入って来ないで──。




「ミア、今日からお前は俺の四人目の妻だ。

 これからよろしくな」


「……ええ、これからよろしくお願いします」



 複雑な想いを抱えたまま。



 今日、私はハーブルム王・ベルンハルトの、四人目の妻となったのだった。



ここまでお読み頂きありがとうございます。

第一章はここまでとなります。

第二章から結婚編になります。


活動報告にも書きましたが、大変申し訳ございません。

しばらく休養期間を取らせて頂きます。

思った以上に執筆に時間が取れず、進行に遅れが出た為と、20日以降に同居家族が入院する為更に執筆時間が少なくなるためです。


再開は7月以降を目標にしています。

お楽しみの皆様には申し訳ございませんが、「この先も気になる!」という方はブクマはそのままでお待ちくださると励みになります。

よろしくお願いしますm(_ _ )m

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