第97話 【BLACK EDGE 其の97 幹部の力】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第97話
【BLACK EDGE 其の97 幹部の力】
ヒートが飴玉を舐めると左手の温度が上がる。そしてヒートはフェザントに向かって走り出す。
フェザントは倒れたシャドーにとどめを刺すことなく、その場でヒートが戦闘に参加してくるのを待っている。
ヒートは左手でフェザントに攻撃する。しかし、フェザントはヒートの左手で攻撃をしてくると、後ろに退いて素早く躱した。
ヒートは諦めずに何度も左手で攻撃しようとする。しかし、フェザントはヒートの攻撃を簡単に躱してしまう。
フェザントは一度は後ろに退がったが、その後はヒートの右へ左へと身体をずらして、攻撃を避ける。
シャドーがやられたことでヒートは焦ってしまっていた。どんな力を持っているか分からない。だが、シャドーが一瞬でやられてしまったのだ。
だからすぐにでも倒そうと左手でばかり攻撃してしまう。それによりヒートの左手をフェザントは警戒した。
「その左手、何かあるな……」
「っ!!」
ヒートの能力は左手のみに熱をためる。それにより急激に温度を高めた手で相手に触ることでダメージを与える。だが、それ以外は普通の人間と変わらない。
身体能力は高く。接近戦の能力のため武術も使える。だが、ヒートの武術は能力をカバーするもの。
能力の効果が出る前に敵に倒されないようにするための防御術でしかない。
ヒートの武術では実力者や能力者には敵わないのだ。だからこそ、この左手を警戒されてしまった状況はマズイ。
ヒートがどれだけ左手で攻撃しようとも、フェザントはそれを避けるだろう。そうなるとヒートにフェザントにダメージを与える方法がなくなる。
だが、まだ能力を理解したわけではない。
ヒートは一旦フェザントから距離を取る。
フェザントはまだヒートの能力を理解したわけではない。左手を警戒しているだけだ。まだ攻撃手段がなくなったわけではない。
しかし、こうなってしまったら、簡単には攻撃を命中させることはできないだろう。だから、ここは……。
「シャドー、起きろ……」
ヒートが退がったのはシャドーが倒れているところだ。敵にバレないようにシャドーに喋りかける。
「…………作戦か?」
シャドーも大きく動かず、小さな声で答えた。
まだシャドーの能力もフェザントにはバレていない。ならば、シャドーとヒートで協力する必要がある。
個々の能力で敵わないのなら、力を合わせるしかない。
「ああ、だが、勝負は一瞬だ」




