第85話 【BLACK EDGE 其の85 待機命令】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第85話
【BLACK EDGE 其の85 待機命令】
王都ガルデニア。そこにある食堂に二人の男女が集まっていた。
身長が低く、黒髪に短髪の男性は注文したコーヒーが運ばれてくると、それにミルクを入れる。
女性は黒髪で短髪。鼻にばんそうこうを貼っていて、男性に比べて活発的に見える。
二人とも普段着を着ている。
女性は運ばれてきたパフェを目を輝かせながら見ている。男性はそんな女性に喋りかける。
「なぁ、姉ちゃん。俺達はブラッドを追わなくて良いのかな」
男性がそう言うとヒートは機嫌を悪そうにパフェの入ったコップをスプーンで二回ほど叩く。
「今は任務街とはいえ、私達は秘密結社の一員なのよ。コードネームで呼びなさい」
「………………」
男性はため息を吐く。
「なぁ、ヒート。俺たちはなんで王都で待機なんだ?」
ヒートはパフェの入っているコップをスプーンで叩いて音を鳴らす。
「そうね。ここで任務があるってことじゃないかしら」
グリムとヒートはブラッドとの戦いに負けた後、そのまま王都に残るようにグリモワールの上司から連絡があった。
この王都で他に任務があるということだろうか。しかし、あれからまだ連絡が来ていない。
組織に見捨てられたわけじゃないかと、グリムは少し不安になっていた。
「しかし、まさか姉ちゃんが負けるなんてな……」
ブラッドと戦ったのはグリムだ。しかし、武器が壊れてしまい撤退した。そして撤退の最中に敵にやられたヒートを発見したのだ。
コードネームではなくまた姉ちゃんと呼ばれたヒートはグリムを睨む。だが、グリムがビビると、呆れた様子で訂正はしなかった。
「そうね。……予想以上の実力者だった」
ヒートはそう言うと戦闘のことを思い出す。敵の武器の一つを破壊したが、接近戦に持ち込まれ、敵は予想外の行動をしてきた。
敵はヒートの攻撃手段である左手を掴んだのだ。
ヒートはあの時のことを思い出して、左手を見る。
まさか手を握られるとは思ってなかった。……弟以外の異性に手を握られるなんて初めてだ。
組織に入ってからは仕事三昧。この手で何人もの敵を葬ってきた。
その手をあの男は掴んで離さなかったのだ。
「…………」
「おーい、姉ちゃん、姉ちゃーーん!!」
ヒートはふと我に帰る。テーブルの向かい側ではグリムが呼んでいる。
「どうしたんだよ。姉ちゃん、顔赤くして?」
私はテーブルを叩く。
「だから姉ちゃんと呼ぶな!! せめて姉貴にしろ!!」
「そこ!?」




