第80話 【BLACK EDGE 其の80 川を渡る】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第80話
【BLACK EDGE 其の80 川を渡る】
船が出港してしばらく経ち、そろそろ船内に戻ろうとした時。
「…………ブラッド?」
船内から水色と白の中間の髪色をした女性が出てきた。その女性はブラッドを見ると驚く。
そしてまたブラッドも驚いた。
「クロエさん?」
クロエ。彼女はブラッドの師匠であるメテオラの部下の騎士である。
ブラッドはメテオラの元で修行をしている時代に、何度もお世話になっており、稽古をつけてもらったこともある。
「知り合いなんですか?」
フェアはブラッドに聞くとブラッドはフェアにクロエについて説明する。
フェアはクロエには出会ったことがなかったみたいだが、メテオラには施設の脱出の時などで世話になっていた。
「なんであなたがここに?」
ブラッドはクロエに聞いてみる。
クロエは騎士だ。しかし、今は鎧を着ていない。腰には剣を下げているが、ドレスのようなスタート姿の私服である。
しかし、メテオラの騎士団は秘密組織と対峙するのが基本的であり、表立った騎士の仕事は行わない。
そのため侵入任務などもあるため、鎧を着ていなくても任務という可能性はある。
するとクロエは人差し指を立てた。それをブラッドとフェアはじっと見つめる。
そしてクロエはゆっくりと口を開く。
任務ならば言えないという場合もある。無理に首を突っ込む必要はない。
真面目の雰囲気の中、
「オフです」
ちょっと緊張して聞いてしまったのが馬鹿馬鹿しかった。
「オフでしたか……」
ブラッドは苦笑いをする。
まぁ、実際にこの川は名所としても有名だ。これだけ広い川はなかなかない。
それにこの川は美しく、人魚がいるという噂まであるほどだ。
「あなた達は、なんでここまで?」
今度はクロエが質問してきた。
「はい。俺たちは…………」
ブラッドは今までの出来事をクロエに説明した。メテオラといた時までの情報は彼女にも入っていたらしいが、アリエルからの助言や、王都やプロタゴニストでの出来事は知らなかったようだ。
「そう、そういうことがあったのね……」
クロエはそう言ったあと少し考える。そして
「少し気になることがあるわ。…………そのプロタゴニストの森で出会った女の子とブルーバードという組織について……」
クロエはそう言うと、
「ここじゃあれね。少し場所を移動しましょう」
そう言って二人を連れて、船内へと入っていった。
船内にはいくつかの施設があり、そこでくつろぐことができる。そのうちの人の少ない休憩スペースで座る。
「…………あなた達が出会った龍の適応者。もしかしたら私達が奪還できなかった子かもしれない」




