第78話 【BLACK EDGE 其の78 クロウ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第78話
【BLACK EDGE 其の78 クロウ】
ブラッドは黒龍の力を右手にためると、それを鞭のように使い、クロウの持っていたチケットを取り返した。
「な!? 私のチケットを!!」
鞭を縮めてブラッドはチケットを手に取る。
「これは俺たちのものだ。お前のもんじゃないぞ」
ブラッドはそのチケットを見せつける。それをみたクロウは悔しがる。
「何よ。また取り返してやる!!」
クロウはそう言うとブラッドの元へと走り出す。
そのスピードは早く。子供の走るスピードとは思えない速さだ。そのスピードのまま、ブラッドの持ったチケットに飛びかかる。
しかし、ブラッドは身体を少しずらすだけで、クロウからチケットを避けた。
クロウはチケットを掴み取る気でいたが、掴めやがったことに驚く。
「な、なに!? なんで…………」
スピードではクロウの方が優っていた。ブラッドがクロウのスピードについて来られるはずがない。
クロウが驚いていると、ブラッドが説明する。
「…………簡単なことだ。標的の分かっているのなら、先に行動を読める。なら、予測して先に動かせば良い」
クロウは再びチケットを取ろうとする。しかし、ブラッドがまたしても少しずらすだけでチケットを取れなかった。
「なんでよ!!」
クロウは何度も何度もチケットを手に入れようと飛びかかる。しかし、そのどれもが空振りに終わってしまった。
「それにお前は動きに無駄がありすぎる。一度取り返してしまえば、もう二度と取られない」
ブラッドは身体を少しずらすだけで、ほとんど動かずにクロウからチケットを守っている。
それはクロウの狙いがチケットなのと、動きが単純だからだ。
一度理解してしまえば、ブラッドには避けられないものではない。しかもそれは攻撃ではなくチケットを狙っている。
こんな小さな的をクロウから遠ざけるだけならば、簡単にできてしまう。
確かにクロウのスピードは一級品だ。このスピードは大人でもとらえられない。
もしもクロウが油断していなければ、取り返すこともできなかっただろう。
やがてクロウは疲れたのか、チケットを奪いにこなくなった。
そんなクロウにブラッドはある提案をした。
「汚い金で馬車を売るつもりはない。…………だが、正当な金なら馬車を売ってやっても構わない」
ブラッドはチケットをしまうと、
「ついてこい」
と言うと歩き出した。
クロウは悔しかったが、ここで逃げ出すこともできず。ついて行くことにした。




