第75話 【BLACK EDGE 其の75 ナンフェア村】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第75話
【BLACK EDGE 其の75 ナンフェア村】
プロタゴニストの森を抜けたブラッドとフェアは遂に、北西にある雪山が見えてきた。
雪山が近づいてくるにつれて、温度も下がっているような気がする。
そして雪山に入る前に、その雪山の直前にある村に立ち寄ることになった。
その村の名前はナンフェア村。雪山の大地と自然の広がる森の境にある川沿いに栄えている村で、雪山の大地に行くためにはここで船を借りて川を渡る必要がある。
川は深く広く、この辺りでは一番大きく長い川だ。橋ではなく船でなくては渡れない。
最近では橋の建設を計画していたりもするらしいが、川は向こうの岸で叫んでも声が聞こえないくらい離れている。
そんな川に橋をかけようとすると何十年かかるか分からない。
ブラッドは馬車を止めると、フェアに馬車で待ってもらい、船の運行情報を調べる。
船着場では多くの船が停まっており、向こうの岸とこっちの岸を行き来している。
二人分のチケットを買ったブラッドはフェアの元に戻った。
「チケットは買えた。後はこの馬車をどうするかだな……」
流石に馬車を向こうの岸に持っていくことはできない。だから置いていくことになるのだが……。
「ここに置いていくか……?」
ここに馬車を置いて行って誰かに馬の面倒を見てもらうという手もある。それかこの馬車を売って戻ってきた時にまた新しいのを買うか。
どちらにしろ。雪山での移動用で向こうの岸ではまた馬車を買わなければならない。
そんな時である。
「よぉ、そこのにぃちゃん」
景気の良い声で話しかけられた。そこには赤毛の少女がいた。歳はフェアより少し上くらいか。だが、まだ子供だ。
「なんだ……」
ブラッドが振り向くと同時にその少女はブラッドの顔を見てビクッとする。
「あんた、結構イケメンだが……顔怖いな」
初対面で何を言っているんだか……。
「それでなんなんだ?」
「ああ、その馬車、要らないなら私にくれないか?」
少女はそんなことを言ってきた。ブラッドは腕を組む。
「いくらだ?」
馬車は中古であっても、子供の購入できるものじゃない。遊びで買えるほど安い物じゃないのだ。
ブラッドは賞金稼ぎ時代の金も余っているため、金には余裕はある。だが、ただで私たらこの子供のためにならない。
すると少女は短パンの裾をくいっと持ち上げる。
色仕掛け? だが、子供だ。それにブラッドはそんなものに興味はない。
だが、違った。
少女のズボンの中からいくつかの財布が落ちてくる。
「これだけあれば足りるか?」




