第74話 【BLACK EDGE 其の74 森を抜けて】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第74話
【BLACK EDGE 其の74 森を抜けて】
クレインとの一件を終えたブラッド達は、先を急ぐため馬車のある花畑に戻った。
シャドーから情報を聞き出すことはできなかったが、雪山の屋敷に行けば何かヒントが得られるかもしれない。
「よし、早速行くか」
ブラッド達が倒れた馬車からシャドーが乗ってきていた馬車に荷物を入れ替えていると、リナリアが寂しそうに見ていた。
「リナリア、あなたも来る?」
そんなリナリアの姿を見てフェアが聞いた。それに続いてブラッドも言う。
「森は守れた。お前の目的は達成したんだろ。しばらくはあいつらも現れないぜ」
クレインはかなりの傷を負った。だから、簡単には戻ってくることはないだろう。
しかし、クレインと一緒にいた少女のことが心配だ。レイラと呼ばれていたが、あの子は龍の適応者だ。どんな龍の適応者なのかはわからないが、暴走しているのは確かだ。
それにクレインに操られている感じだった。
だが、だからこそ、簡単には戻ってこられない。クレインの傷とレイラの状態。その二つを考えれば、この森にはしばらくは現れないだろう。
しかし、リナリアは首を振った。
「私は行けない……」
それを聞いたフェアは寂しそうに、
「なぜ?」
と聞く。フェアと同じ姿をしたリナリアは答える。
「私はこの森。この森そのもの。だからここから離れることはできない」
リナリアは普通の人間ではない。人の姿に変身する力を持っている。
「そうか。分かった」
ブラッドはそう言うと荷物を次々と乗せていく。しかし、フェアは納得していないようだ。
ブラッドが荷物を入れている間にフェアとリナリアは話を続ける。
「一緒に行きたくないの?」
「私も一緒に行きたい。でも、行けない……」
そう喋った後、リナリアは懐から何かを取り出した。それはネックレスだ。シンプルなデザインだが、光の角度によっては綺麗な光を放つ。
「これをあげる。……それは私のオリジナルの物」
それを受け取ったフェアはそれをぎゅっと握りしめた。
「私はそれでついていく。だから寂しくはない」
「…………分かった」
そして荷物が詰め終わり、出発することになる。
「じゃあな」
「またね」
こうしてブラッド達は森を抜けたのであった。
森を出た後、フェアは後ろを振り返る。
「リナリア、大丈夫かな?」
「大丈夫だ。……それにあいつにはまだやることがあるみたいだしな」
戦闘が終わった時、ブラッドはリナリアに聞いていた。
なぜ、この森を奴らが襲ったのか。
この森とブルーバードという組織の関係。
この森の秘密を……。




