第71話 【BLACK EDGE 其の71 クレイン】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第71話
【BLACK EDGE 其の71 クレイン】
「……この俺が…………やられたと……?」
森の奥から現れたのはクレインだ。右手で左手を抑え、壁に寄りながらブラッド達の前に現れた。
「…………やれてなかったのか」
ブラッドは戦闘体制を取る。だが、もう一度ドラゴンインストールは使えない。
あれは肉体への負担もデカいが、それに以上に精神を乗っ取られる可能性がある。下手をすればもう二度とブラッドが戻ってくることは難しい。
さっき一度使ったのはフェアの力をストッパーとして使ったからだ。
フェアの力は少しだけ時間を操作する。傷口の時間を早くすることで回復を早めたりすることができる。
それを使い、ブラッドの中にいる黒龍とブラッドの時間をずらした。黒龍の時間を一瞬だけ早くすることでブラッドとのリンクをずらし、その隙にブラッドが抑え込んだのだ。
だが、この作戦はもう一度使うのは難しい。龍も生きている。古来より生きてきた存在である龍。彼らを身体に入れることができる適合者。
油断をすればいつでも身体を乗っ取ろうとしている。
そして龍も考えている。だからこそ、同じ手は二度と通用しない。
クレインはふらついた状態で植物の剣を握る。
「どうした。またあの黒いモヤは纏わないのか?」
ドラゴンインストールのことを言っているのだろう。だが、今はそれを頼れない。
「ああ、 もう使わない」
ブラッドは拳を握り構えた。
龍の力を使うには龍ともリンクが必要だ。
同じ目的を持ち、同じ心を持つ。同じ生物、同じ精神が二つ、一つの体に存在している。
龍の力は龍と適合者のリンクが必要だ。
「ブラッド……」
フェアが心配そうに見てくる。
フェアの力を使ったことで乗っ取られるのは回避できたが、その分リンクが外れている。その状態では龍の力は使えない。
ブラッドの身体能力のみでの戦闘となる。
しかし、やるしかない。
シャドーもボロボロの状態で少女のことを足止めしてくれている。ならば、ここで決着をつける。
クレインは植物の剣を振り上げながらブラッドに向かって走り出す。ブラッドも拳を握るとクレインの方へと走り出した。
「うぉおおおおお!!」
クレインが剣を振り下ろす。だが、ブラッドはそれを身体を横にずらして躱した。
そして拳でクレインの鎧を殴った。だが、植物の鎧は硬くブラッドの拳は鎧に弾かれた。
「どうした、さっきまでの力はないのか!?」
クレインが剣を振ってくる。




