第60話 【BLACK EDGE 其の60 森の鏡】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第60話
【BLACK EDGE 其の60 森の鏡】
ブラッドとフェアはコピーを探していた。しかし、なかなか見つからなかった。
そんな中、捜索を一旦止めて、グリモワールからの追っ手であるシャドーから子供達の行方について聞き出すことにしたのであった。
森を出て花畑に戻る。そこには壊れた馬車しかない。やはりシャドーが乗って来た馬車はコピーに盗まれたままだ。
壊れた馬車を見るがシャドーの姿はない。もう逃げたのか。この森で逃げられたとなれば、コピーと同じく探し出すのは難しい。
「すまん、俺がもっと早く気づいてれば……」
ブラッドはフェアに謝る。だが、フェアは首を振った。
「私も馬車の件で焦ってた。それに目的地につけば情報を得られるかもしれないし、まだ手がかりがないわけじゃないよ」
そうだ。ブラッド達は雪山にある館に向かっていたのだ。そこにいる主人にある紙を渡せば、子供達について情報を得られるかもしれない。
しかし、
「ここから目的地まではまだ距離がある。馬車なしは厳しいな」
そうなると、近くの村に向かって馬車を調達するしかない。そう考えていた時、
森の奥から何かが走ってくる。それは馬車だ。
しかもそれはシャドーの乗っていた馬車。
「戻ってきた!? でも、なぜ?」
ブラッド達が不思議に思っていると、馬車は二人の前で止まった。
「…………なんとつもりだ……コピー」
馬車が止まると、中きらブラッドと同じ姿をしたコピーが出てきた。コピーは馬車から降りると、
「…………違う。私はリナリア……」
そこ声はブラッドのものだ。
自分の声を聞くという行為がここまで気持ち悪いものとは……。
ブラッドが自分の声に少し嫌な感覚になっていると、フェアはリナリアと言ったブラッドの偽物に話しかけた。
「あなたはリナリアと言うの?」
するとリナリアは答える。そしてフェアの方を向くと、リナリアの身体は変形する。そして、
「わ、私!?」
フェアに変身した。
リナリアはフェアのことをじっと見つめている。
何か攻撃を仕掛けてきたりする気配はない。敵対しているわけではないようだ。
だが、目的もわからない。
「……リナリアと言ったな。お前は何がしたいんだ?」
ブラッドはリナリアに聞く。すると、リナリアはフェアの姿のまま答えた。
「…………森を守ってほしい」
それは本当に助けを求めている声だった。そしてそれを聞いたフェアはブラッドの方を見る。
二人のフェアに見つめられる不思議な状況だ。
まぁ、馬車を取り戻すためだ。
「事情を聞かせてくれ」




