第59話 【BLACK EDGE 其の59 偽物】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第59話
【BLACK EDGE 其の59 偽物】
馬車が倒れた瞬間、シャドーは術を咄嗟に使った。シャドーの術は影移動。
影の中に入り込み、その中を自由に移動できる。光に弱いという弱点はあるが、かなり便利な力だ。
「……くそ、まさか馬車をひっくり返すとは…………」
シャドーは馬車が倒れる瞬間に咄嗟に術を使い、影の中に避難した。それにより馬車が倒れた後、無事だったのだが…………。
「ここしか、影はないか」
シャドーは影の中から顔を出すと、ひっくり返った馬車の中だった。シャドーはどうにか馬車の中から這い出る。
ひっくり返った馬車の中からやっとの思いでシャドーは出ることができた。
「…………もういないか」
シャドーは周りを見渡すが、ブラッドとフェアの姿はない。
彼らを追ってきたのだが、逃げられてしまった。
シャドーの術は影を移動する。しかし、離れた影には行くことができない。必ず繋がっている影を移動するのだ。
そのため森の植物により明かりの多いこの森では能力は使いにくい。
「一旦戻るか……」
シャドーは自分が乗ってきた馬車に戻り、体制を立て直そうとする。しかし、
「ば、馬車がない…………」
シャドーが乗ってきたはずの馬車がなくなっていた。
「どうして…………」
まぁ、可能性としてはブラッドとフェアが馬車を奪って行ってしまったということだ。その可能性が高いだろう、というかそれしか考えられない。
「……………………どうしよう」
この森から近くの村まではかなりの距離がある。歩いて村まで向かうにしてもかなりの時間がかかる。
シャドーはその場でどうしようかと考える。
だが、良い考えが浮かばない。今から追いかけて間に合うだろうか。
そうしていると、足音が聞こえた。後ろからだ。
「っ!!」
シャドーか振り返ると、そこにはブラッドがいた。少し色が黒い気もするが、そこにいたのはブラッドだ。
「…………ブラッド!!」
シャドーはそのブラッドに驚いて、短剣を抜いて武器を構える。
しかし、そのブラッドは反応することはない。
シャドーはブラッドが攻撃してくると思って構えていたが、ブラッドは動かない。
しかし、異変が起きる。ブラッドの身体が突然グニャグニャと変形し出す。
「な、なんだ!?」
そして気づくとブラッドの姿はシャドーの姿に変わる。
「お、俺だと!?」
シャドーは驚く。突然目の前にいたはずのブラッドが人物の姿に変わったのだ。




