第58話 【BLACK EDGE 其の58 そういえば……】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第58話
【BLACK EDGE 其の58 そういえば……】
花畑にある一本の木。そこに映っていたはずのブラッドの姿が消えた。そして馬車が突然動き出し、そこに乗っていたのはブラッドにそっくりな人物であった。
ブラッドとフェアはその馬車を追いかけるが、森に入ったところで見失ってしまったのであった。
「…………くそ、見失ったか……」
この森は広い。手当たり次第捜索しても見つからないだろう。しかし、先に進むだけでなく戻るにしても距離がある。
あの馬車を手に入れる必要がある。
「ブラッドどっか行っちゃった」
「俺はいるけどな」
「あのブラッドなんて呼んだらいいかな?」
「とりあえず、コピーとでも呼んでおくか」
こうしてブラッドとフェアは偽ブラッドをコピーと呼ぶことにした。そしてコピーを探して森を探索する。
「しかし、あれは何者なんだ……?」
ブラッドは探索しながら考える。
フェアはブラッドを怖がらせようと、
「やっぱり噂通り、偽物が本物を襲って、本物になり変わるのかも……」
それを聞いたブラッドはビクッと肩を震わせる。そんなブラッドを見てフェアはくすくすと笑う。
「でも、実際に噂通りにブラッドの偽物が現れた。何かあるかもね」
「俺は何もないで欲しいけどな……」
ブラッドはフェアにビビらされて、肩をがくりと落とす。少し疲れてきたみたいだ。
そんなブラッドにフェアは、
「でも、私たちは龍の力を持ってるわけだし、偽物になんて負けないよ」
と少し自信を持たせようとした。
実際に龍の力は強力だ。この世の力とは反している。だが、ブラッドの想像するお化けみたいな存在はそれすら通用しないのだ。
だから、ブラッドはそういうオカルト的な存在が苦手だ。
しかし、それでも馬車は必要。馬車を手に入れなければ、移動ができなくなる。
この森は近くの村に行くのでも馬車で一日近くかかる。そうなると、馬車を使用していないとどれくらい時間が必要になるかわからない。
この旅は急ぎの旅だ。子供達を助けるために、その居場所を知りたい。
追っ手から聞くという手もあったが………………ん?
「そういえば…………」
「ブラッド、どうした?」
「あいつから情報を聞き出すか……」
さっき現れたシャドーという男。彼もグリモワールの関係者だ。子供達の行方を知っているかもしれない。
ならば、奴から力ずくで情報を聞き出せば良い。
「フェア、一旦戻るぞ」
ブラッドとフェアは馬車が倒れたところに戻ることになった。




