第57話 【BLACK EDGE 其の57 花畑】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第57話
【BLACK EDGE 其の57 花畑】
ブラッドとフェアはシャドーの乗って来た馬車の方へと向かう。
花畑の横を歩いて、馬車へと向かって歩く。
フェアは後ろを振り返り、
「あの人大丈夫かな?」
そう言ってシャドーのことを心配する。
それに対してブラッドは振り向かずに答えた。
「大丈夫だろ。あいつも術師だ。あの程度じゃ死なない。それにまた襲ってくるかもしれない。下手に近づかない方がいいだろう」
そう言いながら二人は進む。そして花畑の真ん中にある一本の木を横切った時、ブラッドは不思議なものを見た。
「どうしたの? ブラッド」
「…………いや、今あそこの木に映った俺がわらった気がして……」
ブラッドはそう言って花畑にある一本の木を指差した。
この森の植物は鏡の性質を持っており、近くの風景を反射している。だから、ブラッドが映っているのだが……。
「もしかして、さっきした噂本当だと思った?」
フェアは森に入る時にした話を思い出す。
「いや、まぁ、そうなんだけど…………本当に…………」
ブラッドはもう一度同じ木を見るが、そこには不自然な様子はない。
花畑とその奥にある森、そして端には少しだけ湖も映っている。そしてフェアの姿と…………。
「俺がいない!!」
「ブラッドがいない!!」
二人が鏡を見ると、そこにはブラッドの姿がない。どういうことだ……。
二人は道から外れて、花畑を通りその一本木へと向かう。近づいてもブラッドの姿は見えない。
どういうことなのだろうか。
その時だった。
シャドーが乗って来ていた馬車が突然動き出した。
その馬車にはシャドー以外見当たらなかった。隠れていたのか、それともシャドーが術を使い馬車に乗り込んだのか。
馬車は道を進み、ブラッド達がいる花畑の真横を通る。その時、馬車を動かす人物が見えた。
全体的に少し黒っぽい色になっているが、体格、服装、そして顔のパーツまで全てがまるで、
「俺!?」
ブラッドだった。
ブラッドが馬車を操作して花畑の道を進んでいく。
「ブラッドが二人!?」
「違う!! あれは偽物だ!!」
馬車は横転している馬車を追い越して花畑を抜けていく。
「このままだと馬車が奪われる。追うぞ!!」
ブラッドとフェアはその馬車を追うことにした。全速力で進む馬車、それを走って追う二人、花畑を超えて森の中に入ると視界も悪くなり、やがて馬車を見失った。
「…………なんだったんだ」




