第56話 【BLACK EDGE 其の56 リベンジ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第56話
【BLACK EDGE 其の56 リベンジ】
「俺の名前はシャドー。お前達に一度敗れた暗殺者だ」
そう答えた仮面の男。その男は馬車の中でフェアに向けて短剣を向けた。
ブラッドは馬車を動かしているため、何もできない。
ブラッドは馬車の中を見ることができず、振り返らずに聞く。
「シャドーだと?」
シャドー。そんな名前の人物はブラッドは知らない。しかし、この服装からしてグリモワールの関係者なのだろう。
どちらにしろ。この状況はまずい。
「そうか、あの時は名乗ってなかったな」
馬車の中でシャドーは短剣を抜くと、ゆっくりとフェアの方に近づく。
フェアもブラッドからもらった剣を手にしているが、手を震わせてシャドーが近づいてくるたびに、少しずつ後ろに下がっていく。
「怖がるなよ。俺はお前を回収しに来ただけだ。…………二度目の失敗はしない!!」
シャドーはフェアに襲いかかる。フェアは後ろに下がろうとするが、もう後ろは馬車の壁だ。
背中が壁についてこれ以上下がることができない。
「っ!!」
その時、ブラッドが馬車を暴走される。馬車を動かしている馬を驚かせて、馬車を強く揺らしたのだ。
シャドーは揺れる中バランスを取ろうと必死になる。それによりフェアに近づくことができずに、その場で止まる。
フェアは揺れで転びそうになったが、
「ブラッド……」
それをブラッドが受け止めた。
「一旦逃げるぞ」
「うん」
ブラッドはフェアを抱き抱えると、馬車の出口の方へと向かう。
「待て、この野郎ー」
シャドーはブラッドを追いかけようと走ろうとしたが、それと同時に馬車が倒れる。
ブラッドは馬を暴走させた後、そのまま馬を放置してこの馬車を捨てる気だった。
馬車が倒れる前にブラッドは馬車から飛び降りる。シャドーは馬車が倒れる衝撃で馬車の中で転んでしまい、ブラッドを追うことができずに馬車に取り残された。
ブラッドは馬車からジャンプしたあと、地面に着地する。
その直後、馬車は横転して草原のど真ん中で馬車は止まった。
「フェア、怪我はないか?」
ブラッドはフェアを下ろす。
「うん、でも、馬車が…………」
そう言い、フェアは馬車の方を見る。もう馬車は壊れてしまって、走ることはできそうにない。
まだまだ目的地は遠いというのに…………。
そんな中、ブラッドは、
「問題ない」
と言った。そしてさっき通った道を見る。
そこには花畑の横の道に馬車が置かれている。
「奴が乗って来た馬車だ。あれを借りよう」




