第55話 【BLACK EDGE 其の55 プロタゴニスト】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第55話
【BLACK EDGE 其の55 プロタゴニスト】
プロタゴニスト。そこは鏡の性質を持つ不思議な植物の生息する森である。
ブラッド達は目的地に行くためにこの森を越える必要があるのだ。
そして今、その森に入ったのであった。
森は木に覆われているというのに明るい。それはこの森にある特殊な植物が光を反射しているからだ。
「わー! ブラッド、見て見て!!」
馬車を進むていると、フェアが馬車の中から手を出した。
フェアが指差したのは、森にある花だった。しかし、その花は、
「虹色だ……」
ブラッドは驚いた。
そこには虹色に光る花があったのだ。
この森にある植物は特殊な性質を持つ。それは鏡のような性質であり、光を反射する。だが、正確には違う。
この森の植物が反射するのは光だけではない。
この森の植物は世界に存在するあらゆる物質を反射している。光だけではなく、放射線や他にも様々なものを反射している。それにより不思議な現象が起こるのだ。
人間には視覚できない色が存在する。それすらも反射するこの森は実際にはもっと美しいのかもしれない。
ブラッド達は先に進む。そんな中、フェアがポツリと言う。
「あれ、持っていきたかったなぁ」
しかし、ブラッドが首を振った。
「それは無理だな。この森の植物はこの森でしか効力を発揮しない。持って行ったとしてもあの花はすぐに枯れてしまう」
プロタゴニストにある植物はこの森を出てしまうとすぐに枯れてしまう。どんなに美しくてもこの森だけの美しさなのだ。
そのまましばらく馬車を進めていると、湖のある場所にたどり着いた。森に囲まれて湖と、虹の花の花畑。そしてその花畑の真ん中に一本の木があった。
そしてさらに進む先に一台の馬車が止まっていた。
「なんだろうな……」
馬車の横を通り過ぎようとした時、馬車に人が乗っていた。
「待っていたぞ。貴様ら……」
それは黒いフードを着た仮面の男。仮面の男はブラッド達の馬車に飛び移った。
飛び移ってきた仮面の男はフードの中から剣を取り出す。
「久しぶりだな」
馬車の荷台には仮面の男とフェア。そして馬を操作しているのはブラッドだ。
ブラッドは馬を操作しているため動けない。
フェアはブラッドから貰った剣を抜いて仮面の男に剣を向ける。
「久しぶり……? あなたは何者?」
フェアが聞くと仮面の男は答える。
「俺の名前はシャドー。お前達に一度敗れた暗殺者だ」




