第54話 【BLACK EDGE 其の54 王都を出て】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第54話
【BLACK EDGE 其の54 王都を出て】
ブラッドとフェアは王都を出発した。王都を旅立つ時、ヒューグは見送ってくれた。
去る時にヒューグはフェアに服を買ってくれた。今までは施設で使っていた服をそのまま使っていたが、ヒューグから貰った服は動きやすく、それでいて可愛かったので早速来ている。
そして馬車は北西にある雪山の地を目指して進む。
「ねぇ、ブラッド。この先にある森の噂知ってる?」
馬車を進めているとフェアがそんなことを言ってきた。
「噂? いや、知らないな」
この先にはプロタゴニストと呼ばれる森が存在する。その森には不思議な植物があり、鏡の性質を持った木や草が存在している。
しかし、その植物はプロタゴニストでしか生息することはできず、この森を抜けてしまうとすぐに枯れてしまうのだ。
だが、鏡の性質を持つその植物は美しく、光を反射することで虹色の森とも呼ばれている。
「プロタゴニストのある木には人の悪意を写す木があるんだって、そこに自分の姿が写るとその人物が鏡から出てきて本物を襲うらしいよ」
フェアはワクワクしながらそんなことを説明する。
「…………そうなのか」
ブラッドはフェアの方を振り向かずにただ真っ直ぐと先を見つめている。
「ねぇ、ブラッド…………もしかして……」
「怖がってないぞ!!」
フェアが言うよりも先にブラッドが言った。しかし、ブラッドの腕は震えている。
「もしかして…………ブラッド……」
フェアは面白そうにブラッドのことを見つめる。
「おい、バカなことは考えるなよ……」
「…………」
「おい、なんで喋らないんだ。お、おい! おーい!!」
突然喋らなくなったフェアに怖がるブラッド。恐る恐る振り返ろうとした時、後ろから背中を叩かれた。
「っ!!」
ブラッドはびっくりする。その後、フェアが大笑いした。
「へぇ〜、そうなんだ〜、へぇ〜」
「もうやめろ!!」
そんなことがありながらも馬車は進む。向かうは西北の雪山だ。そこにある館に住む人物にある紙を渡す。
そしてアリエルに子供達の行方を調べてもらう。
そのためにはプロタゴニストという森を越える必要がある。やがてブラッド達の前に森が見え始めた。
森の上空にはいくつもの虹が現れている。それだけ光を反射しているのだ。
「さぁ、さっさと森を抜けて、目的地に向かうぞ」
「そうね。急ぐよ〜!」
ブラッドとフェアは森に入るのであった。




