第52話 【BLACK EDGE 其の52 火炎の左】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第52話
【BLACK EDGE 其の52 火炎の左】
ヒューグはヒートに攻撃を仕掛ける。両手に持った短剣で斬りかかるが、なかなか攻めきれない。
それもヒートの左手を警戒しているからだ。ヒートの左手はすでに鉄すら溶かしてしまう高温になっている。
もしも再び掴まれるようなことがあれば、今度は腕が溶かされてしまうだろう。
だが、このままではヒートを倒すことができない。
戦闘中ヒートが喋りかけてきた。
「なぜ、お前が戦う。我々とは無関係だろう」
ヒートの言う通りだ。ヒューグはグリモワールとは無関係だ。
何もヒートと戦う必要なんてないのだ。それもこんな命をかけた戦いなんて……。
だが、
「そんなの決まってるだろ。友のためだ。俺は仲間のために命を命を張る男なんだよ!!」
ヒューグの答えにヒートは「暑苦しい」と答える。
「熱いのはお前だろ」
ヒューグは日本の剣をクロスさせるように斬りかかる。しかし、ヒートが左手で防御してくるため、剣を当てる前に引っ込める。
「どうした? この左手の強さに気づいたか?」
ヒートは調子に乗って左手でどんどん攻めてくる。だが、なかなか隙がない。
こうやって左手だけに警戒していても、ヒートは倒せない。ヒートはかなりの体術使いだ。
身体を捻り、どんな体勢からでも反撃してくる。
蹴りもパンチも全てが鍛えられたもの。術だけに頼ったものではない。
しかし、このままではヒートの左手にいつかは捕まる。ならば、こっちから行動を起こして、倒すしかない。根性を見せるしかない!!
ヒューグは両手に持っていた短剣を捨てる。そして、
「来い!!」
と素手で構える。ヒートは遠慮なく左手でヒューグに攻撃する。
ヒートの左手がヒューグを襲う。ヒューグはヒートの左手を右手で防いだ。
手のひらを合わせてがっちりと掴む。
「なにぃ!?」
予想外の行動にヒートは驚く。まさか高熱の手を握られるとは思っていなかった。
「こうしてしまえば、条件は同じだよなァ!!」
ヒューグは左足で蹴りで攻撃する。しかし、ヒートは右足で攻撃を防いだ。
「同じ条件だと……私の方が有利だ!!」
ヒートは残っている右腕でヒューグの顔を殴ろうとする。しかし、ヒューグはその拳を左手で掴んで止めた。
両手で握り合い、お互いが睨み合っている状況。
「さぁ、力比べだ!!」
ヒューグは力一杯にヒートを持ち上げる。ヒューグの力にはヒートも敵わず持ち上がられてしまった。
「なんだとーー!!」
そしてヒートはヒューグの頭上を反時計回りに三十回転させられた後、地面に叩きつけられた。
「ぐぁ!!」




