第35話 【BLACK EDGE 其の35 二十の魔導書】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第35話
【BLACK EDGE 其の35 二十の魔導書】
フェア達の目的は、
「子供達の居場所を探してほしい!!」
フェアはアリエルに頼む。すると、アリエルはニヤリと口元を緩ませた。
「良いよ。それくらい」
案外簡単に手伝ってもらえた。
話を聞いた村人は彼女のことを怖がっていた。しかし、実際に会ってみると良い人だ。
行方不明者が十二人も出ていると言っていたが、それは村人達の勘違いなのではないだろうか。
「ありがとう!!」
フェアは喜ぶ。これで子供達を探すヒントを手に入れられたのだ。
だが、
アリエルは指を立てた。
「さっきも言ったけど、物事は全てが等価交換だ。得るためには何かを失わなければならない。それが世界の理だ」
ブラッドはアリエルに聞く。
「何を出せっていうんだ」
これでも魔女と呼ばれる人物だ。ただでは手伝ってはくれないらしい。
すると、アリエルはテーブルに一枚の紙を置く。
「私の究極の魔導書作りを手伝って欲しい」
ブラッドは置かれた紙を受け取る。しかし、その紙は白紙である。
「なんだこれは?」
「これを西東の雪山に住むクリステルという女性に渡して欲しい」
「この白紙の紙をか?」
ブラッドの疑問にアリエルは答えることなく。彼女なら分かるとだけ教えた。
それが子供達を探す条件ならとブラッドは紙を受け取る。
「それで? 子供達はどうやって探すんだ?」
ブラッドがそう聞くと、アリエルはやれやれという表情で答えた。
「でも残念。まだ人探しの魔導書は持ってないの」
少し雲行きが怪しくなってきたか?
ブラッドは立ち上がる。なんだかこのままいいように使われて終わる予感がしたからだ。
少し魔女を舐めていたと思った。
期待をさせて落とされた気分だ。だが、この言い方だとできないわけではない。
そしてこちらは彼女を頼るしかない。
しかし、アリエルは手で座れと合図してきた。仕方なくブラッドは座る。
「私があの屋敷に行ってもどうせ弾かれる。でも、彼女なら良い魔導書が作れる。そう思うのよ」
「それで俺たちにこの紙を渡させて、魔導書を持ち帰れと?」
「ま、なんとなくはそんな感じね。違う部分もあるけど……」
「違う部分?」
「それは行ってみればわかる」
だが、今はこの胡散臭い魔女を頼るしかない。期待はしていなかった。しかし、不思議な力を見せられて、探す手段があると言われた。
そしたら条件を飲んでやるしかない。
「分かった。こいつを届ければ良いんだな」
こうしてブラッドとフェアは北西の雪山へ向かうことになった。




