第345話 【BLACK EDGE 其の345 水龍】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第345話
【BLACK EDGE 其の345 水龍】
ブラッドは地面に落下する。地面に背中をつけて、空を見上げていると、ブラッドとぶつかっていた水が雨のように降ってきた。
地面で起こった爆発により、レトバを包んでいた土煙も腫れ始める。そして中にはレトバが立っていた。
ブラッドの攻撃を受け止めたことで身体は傷だらけである。だが、それだけの傷だというのに、レトバは倒れることはなく立ってブラッドの方を見ていた。
「…………お主の勝ちじゃ、じゃが、決勝は気をつけるんじゃな……。あやつには今のお主じゃ………………ない……」
レトバの身体は揺れると、ゆっくりと倒れた。そんな中、ブラッドは立ち上がる。
レトバは立ち上がってくる気配はない。
準々決勝レトバvsブラッドは、ブラッドの勝利である。
試合を終えたブラッドは控え室に戻っていると、次の試合の選手をすれ違った。
それは紫色の髪の大男シオンである。
シオンはすれ違う時にブラッドのことを見ると、ニヤリと笑った。
「お前は楽しめるのか……。決勝を楽しみにしてるぞ……」
ブラッドは振り返るが、シオンはそう言った後、ブラッドの方を向くわけでもなく、会場へと歩いていった。
もう一人の龍の適応者。奴が勝ち上がると決まったわけではない。
だが、レトバが倒れる瞬間に言っていた人物は誰なのだろうか。レトバは次の試合を勝ち上がってくるものを、誰なのか分かっていたのか。
そんな疑問の中、ブラッドは控え室へと戻った。
舞台の上ではアサギが既にいた。仁王立ちでシオンの登場を待つ。
そんなところにシオンは登場する。
シオンは笑みを浮かべながら、ゆっくりと歩いてくる。そして舞台の目の前に着くと、膝を曲げて、足だけを使ってジャンプして舞台の上に登った。
「てめーには期待はしてねぇ……が、せめて前菜程度にはなってくれよ……」
そう言われたアサギは両手を握りしめると、その固めた拳と拳をぶつける。
「言ってくれるなぁ、デカブツさんよ……。女は殴らないが、男には手加減はしないぜ」
二人が舞台に現れたところで、準々決勝二回戦。
アサギvsシオンの試合のゴングが鳴らされる。
二人とも武器はなく素手で戦う格闘家。だが、龍の力を持つシオンとは違い、アサギは普通の人間だ。
どうやって戦うのか……。
ゴングが鳴るとシオンはアサギに向かって走り出した。
そして拳を握りしめて、アサギに向かって振り下ろす。
「っ!!」




