第338話 【BLACK EDGE 其の338 紫龍】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第338話
【BLACK EDGE 其の338 紫龍】
シオンの拳はフェザントに当たることはなく。フェザントは目の前から姿を消した。
そしてシオンの背後に現れると、シオンの腹に強力なパンチを浴びせた。
「……………」
「……頑丈すぎるだろ」
だが、シオンはフェザントのパンチを食らっても、全く動じることはない。
そしてシオンの腹にパンチをした状態で固まっているフェザントに、シオンは拳を振り下ろす。
しかし、再びシオンの前からフェザントは姿を消した。そして数メートル離れた場所にフェザントは現れる。
フェザントは気怠そうに頭を掻いて、シオンの様子を遠くから観察している。
そんな気怠そうなフェザントを見て、シオンは少し困った表情になった。
「なんだよ、楽しんでるのは俺だけかァ?」
「戦闘を楽しむ馬鹿はお前だけだ。俺ァ、こういうのは嫌いなんだよ……」
「寂しいこと言うんじゃねぇよぉ〜、俺だって戦闘は好きじゃねぇんだ。相手を踏みに潰すのが好きなだけだァァァ!!」
シオンはフェザントに向かって拳を握りしめながら走り出す。
フェザントはため息を吐くと、
「だから、俺は。お前みたいのとは……やりあいたくねぇんだ……」
走ってくるシオンの前方で、フェザントは消えたり現れたりを繰り返す。そしてその現れる位置は毎回違い、少しずつシオンに近づいてきていた。
シオンはそんなフェザントに対して、次に現れるであろう場所を、勘で予想する。
なんの考えもあるわけではなく、野生の勘だけを頼りに空中に向かって拳を振った。
すると、その拳を振った位置にフェザントが現れる。
現れたフェザントは何もできずに、シオンの拳を喰らう。
わけではなく。フェザントにシオンの拳はぶつかるが、そこにフェザントはいない。
確かにそこにフェザントの影はあったが、それは残像であり、シオンの拳はフェザントの残像をすり抜けて空を殴った。
そんなシオンを囲むように大量のフェザントが現れる。円を作り、シオンを囲む十五人のフェザントは、拳を握りしめると、シオンに拳を突きつけた。
どこの拳も実際に存在し、シオンにはその全てがフェザントであるように感じる。
だが、フェザントの拳はシオンを傷つけることはできなかった。全ての拳はシオンの筋肉によって弾かれる。
シオンは腕を振って、囲んでいるフェザントを払うが、それら全てが残像になり、シオンの攻撃は全て当たらない。
そんなシオンから少し離れた位置に再びフェザントが現れた。




