第334話 【BLACK EDGE 其の334 ポリシー】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第334話
【BLACK EDGE 其の334 ポリシー】
スカイは無理にでもアサギの拘束を抜け出そうとする。
力任せに抜け出せば腕の骨が折れてしまう。
「おい、無理をするな。これ以上は剣を振れなくなるぞ」
抜け出そうとするスカイにアサギは忠告する。しかし、スカイはそうなの聞く気はない。
このままでは折れてしまう。そう考えたアサギは腕を放した。
アサギこ拘束から抜け出したスカイは前に倒れそうになるが、三歩ほど進んで体制を立て直した。
そして素早く剣を拾うと、スカイはアサギに剣を向けた。
「なぜ、解放したんですか」
スカイはアサギに問う。
あのまま腕を追っていれば、抜け出されたとしても今後の展開に有利になる。何もなしで解放する必要はない。
だが、その問いにアサギは答えることはない。
「……そうですか。答える気はないですか!!」
スカイは再び剣を振ってアサギに攻撃を仕掛ける。だが、アサギは簡単にスカイの攻撃を避けてしまう。
そして攻撃を避けていたアサギは拳を握りしめると、スカイの剣を振った後の隙を狙って拳を振る。
「っ!!」
だが、アサギの拳はスカイの顔に当たる前にぎりぎりで止まった。だが、拳を振った時の勢いで、スカイの髪は大きく揺れる。
拳が止まり、一瞬何が起きたのか分からなかったスカイだが、一秒後に後ろに下がって一旦距離を取る。
そして勢いをつけて再びアサギに斬りかかるが、スカイの剣を両手で挟むようにして止めたアサギは、片足でスカイを蹴ろうとする。
だが、再びスカイに当てることはなくギリギリで蹴りを止めた。
驚きながらもスカイはアサギに蹴りを入れた後、剣を持って後ろに下がる。
そして少し下がった状態でアサギに聞いた。
「私のことを舐めてるんですか?」
それに対して、蹴られた後大袈裟に後ろに飛んでダメージを軽減させたアサギが、ゆっくりと立ち上がりながら答える。
「……そういうわけじゃない」
「じゃあ、なぜ……。いつでも私を倒すチャンスはあったでしょう」
拳や蹴りを止められて、攻撃はいまだにしてこない。これ以外にもやろうと思えばやれる場面はいくつかあったはずだ。
それなのにアサギはスカイを攻撃しなかった。
「俺は……。女性は傷つけない。そう約束してるから、君には攻撃できない」
「女性を傷つけない……?」
「ああ、俺の師範から教わったことだ」
そう言ったアサギは懐かしむように空を見上げた。




