第318話 【BLACK EDGE 其の318 霧】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第318話
【BLACK EDGE 其の318 霧】
気がつくとギアムは霧に囲まれていた。
「これは…………」
そしてさっきまで目の前にいたはずのレトバの姿も霧の中へと消えていく。
いつのタイミングからレトバは仕掛けていたのか……。
ギアムは警戒しながら周りを見渡す。
すると、霧の中から声が聞こえてくる。
「……ほほほ、お主は確実にこれから成長するだろう。じゃがまだわしには勝てない」
霧の中から聞こえたレトバの声。そしてレトバの声が聞こえなくなると、霧の中から槍が現れてギアムを突き刺そうとしてきた。
ギアムはギリギリでその槍を躱す。しかし、レトバの攻撃は一度で終わるはずもなく、360度様々なところから槍が現れてギアムを攻撃しようとしてくる。
ギアムはどうにかその槍を避ける。突然現れる槍、これをギアムが避けられるのは、ギアムの身体能力の高さと勘の鋭さである。
最初にレトバからプレッシャーを感じ取ったのもギアムの勘の良さである。そのため戦う前からギアムはレトバとの実力の差を感じ取った。
だが、そのプレッシャーに勝ったからこそ今がある。実力の差はある。だが、そのプレッシャーを強く感じてしまうほどの感覚が、今のギアムを生かしていた。
その力でギアムはレトバの槍を避け続ける。しかし、完璧に避けられているわけではなく、所々で擦り傷を負う。
だが、致命傷でなければまだ動ける。
ギアムはレトバの攻撃を避け続けていると、レトバの槍のスピードが落ちてくる。
体力ではギアムのほうが上だ。
速度の落ちた槍が引いていくところを、ギアムは掴んで止める。
「捕まえたぜ。こいつを辿っていけば……」
ギアムは槍を辿ってレトバに攻撃しようとする。しかし、槍の先にはレトバはいなかった。
「っ!?」
そしてレトバが背後に現れた。ギアムはそれに気づくと急いで振り向こうとする。
しかし、レトバの方が早い。レトバは槍を横にするとそれを振って、ギアムの剣を払う。そしてそのままギアムの頸を殴りつけた。
「ぐっ……」
ギアムは力が抜けて、両手に持っている短剣を落としてしまう。そして落とした後、膝が曲がり、ガクッと崩れ落ちた。
ギアムが倒れたと同時に白い霧が晴れる。そしてやっと視界がひらけた。
レトバはギアムに槍の先を向ける。
「さぁ、これで終わりかの」
ギアムは意識を失わずに耐えたが、身体の力が抜けており、座った状態のまま立てない。
しかし、
「…………ま、まだだ……」




