第315話 【BLACK EDGE 其の315 団結力】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第315話
【BLACK EDGE 其の315 団結力】
レトバは槍を作ると、それを持って構えた。ギアムも両腰の剣を抜いて構える。
そして武器を構えたまま、両者は動きが止まった。
その様子を見ていた控え室のリトゥーンは、それを見ながら左手で顎を触った。
「うむ、二人とも警戒しているようだね……」
リトゥーンの言葉を聞いたスカイも同じように見えたのか。
「そう見たいですね」
と反応した。だが、それに対してブラッドは、
「いや、違うな……」
と言った。ブラッドの言葉を聞いたスカイとリトゥーンは驚く。そしてリトゥーンはブラッドに聞く。
「実力は互角。それにより二人とも様子を見合っているように見えるが……? 何が違うのかな?」
「確かに警戒している。だが、踏み込めずにいるんだ……。ギアムがな……」
それを聞いたスカイは首を傾げた。
「ギアムが? ですか?」
「ああ、今回の試合の展開は……。レトバが支配するぞ」
そしてブラッドの発言通り、ギアムは動けずにいた。
…………なんだ、このプレッシャーは…………。この爺さん何者なんだ…………。
レトバから感じるプレッシャーにギアムは進むことも下がることもできずにいた。
ギアムは反乱軍のトップに立ってから、いくつかの修羅場を乗り越えてきた。
そんなギアムであっても、ここまでのプレッシャーを感じたのは初めてだった。
動けずに固まっているギアムを見て、レトバは
「なんじゃ……動けんのか?」
そう言ってギアムを小馬鹿にするように言った。
レトバはまだ何もしていない。それなのにギアムは動くことすらできない。
そんな状況の中、ギアムはふとある時のことを思い出した。
それはギアムがリベリオンに入ったばかりの時のこと。
マルグリットの政治体制に不満を持った人々が集まった組織リベリオンは、反政府組織として国家に追われていた。
そんな中、団員の数名が騎士団に捕らえられてしまった。
リベリオンはまだ大きな組織ではない。捕まった仲間を助けにいく余裕はなかった。だが、それでもリベリオンは立ち上がった。
数時間後、捕まった数人の仲間と共にギアムは助け出された。
ギアムは助けが来るとは思ってなかった。だが、リベリオンの団結力は、ギアムの予想を超えた。
ギアムは一度目を強く瞑る。そのあとキリッと開くと、足を一歩前に出した。
そしてまた一歩と前に進んでいく。
「おぉ、進みおったか」
歩いてくるギアムをレトバは嬉しそうに見守る。
「ああ、俺は仲間のためにもここで止まるわけにはいかないんでな」




