第313話 【BLACK EDGE 其の313 水槍】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第313話
【BLACK EDGE 其の313 水槍】
ついに闘技大会の本戦が始まる。第一試合はレトバvsギアム。
ブラッドは第一試合をスカイと共に控え室から観戦していた。
そんなブラッド達の元に一人の男がやってきた。
「やぁ、君達。予選突破おめでとう〜」
白い服に長髪の男。
「お前は水測り工場長リットル!!」
「誰だよそれは!? リトゥーンだ!!」
それはDブロックでブラッドと戦ったリトゥーン。
ブラッドに剣を折られて脱落した騎士だ。
「それでなんのようだ?」
「君達は勝ち残ったから良いが敗者は暇なんだよね。どうせなら君たちと一緒に観戦しようと思ってね」
それを聞いたスカイは質問する。
「暇? 外には出れないんですか?」
それに対してリトゥーンが答えた。
「ああ、セキュリティの問題だとかで外に出してもらえないんだ。運営は何をやりたいんだか……。騎士である僕は暇じゃないのに……」
暇じゃない騎士がなんでこんな大会に参加してるんだよ。
だが、リトゥーンの言っている通り、この大会では全試合が終わるまで参加者を外に出さない。
どんな理由があるかは分からないが、予選で負けたとしても会場からは出られないのだ。
「だから僕も一緒に見させてもらうよ!」
リトゥーンはそう言って二人の間に割り込んでくる。
「おい、無理して入るなよ……」
ブラッドがリトゥーンに文句を言っている中、リトゥーンは会場を見ていた。
舞台にはすでにギアムが待っている。後はレトバの登場を待つだけだ。
「待たせたの」
レトバは控え室から歩いてくる。そんなレトバを見てギアムは
「ああ、待ったぜ、爺さん……」
舞台の高さは1メートルほど。レトバは舞台の上に手を置くと、
「よっこらしょ」
ゆっくりと舞台の上に登った。
そして登り終えたレトバにギアムに
「わしは年寄りだからな。お手柔らかに頼むぞ」
と微笑んだ。
そんなレトバをギアムは睨む。
「普通の年寄りが予選突破できるかよ」
そして二人が舞台に現れると、試合が始まる。
司会が二人の選手を軽く紹介した後、
ゴングが鳴らされた。
ギアムは両腰につけた短剣に手をかけて、いつでも抜ける状態になる。
しかし、レトバはと言うと……。
「おい、爺さん、武器はどうしたんだ?」
ギアムがレトバに聞く。レトバの手には武器がない。
「忘れたとは言わないよな?」
「ああ、忘れとらんよ。今から作るんじゃ」
レトバはそう言うと右手を天に突き出す。すると、レトバの腕の周りに水分が集まり、それが形を成していく。
「……どうなってんだ」
そしてレトバの腕に槍が作られて、それを握りしめた。
「さぁ、準備完了」




