第29話 【BLACK EDGE 其の29 野宿】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第29話
【BLACK EDGE 其の29 野宿】
フェアとブラッドは山を進んでいる。一日中歩き続けたが、まだ村に着く気配はない。
そして日が落ち始めた。
「これ以上進むのは危険だな。今日はここで野宿するぞ」
「はーい!」
森の夜は危険だ。何が現れるか分からない。そのため今日は森の中で野宿することにした。
「俺は薪を集めてくる。お前はここで待っててくれ」
ブラッドはそう言い薪を探してこようとするが、フェアが止めた。
「ここは私が探してくるよ。ブラッドは他にやることやっといて!」
フェアはそう言うと森の中に走っていった。
フェアはとても良い子だ。一日中歩いたというのに文句一つ言わない。それにこうしてブラッドの手伝いをしてくれるのだ。
子供たちを救いたいというのもあるが、フェアの性格もあるのだろう。人のために手伝いたい、何かをやりたい。そう思って動ける。
白龍は神聖な龍であり、適正者は簡単に見つからない。そんな白龍に認められるほど綺麗な心を持った子なのだ。
だが、逆にブラッドからはそんなフェアが心配になる。なんでも背負い込んでしまうフェアはいつか辛い思いをしないだろうか。
ブラッドが野宿の準備をしていると、フェアが薪を持って戻ってきてくれた。
「拾ってきたよ!」
「おう、ありがとな!」
礼を言われたフェアは嬉しそうだ。
「こっちもフェアのおかげで良いもんを捕まえてこれた」
ブラッドはそう言うと大きな魚を見せた。
フェアが薪を拾ってきてくれていたので、時間に少し余裕ができたので近くの川で魚を捕まえてきたのだ。
全部ブラッドが準備しようとしていたため、持ち運び用の食料で済ませようとしていたが、フェアのおかげで天然の大きな飯が手に入った。
ブラッド達は火を起こすと、魚を焼いて夕食を食べる。
村で買ってきた保存用食料と一緒に食べることになり、かなり腹が膨れた。
空を見上げれば、星が輝いている。星はどこから見ても同じだ。いつも変わらない。
そうやってのんびりしていると、
「…………」
近くの草むらから気配を感じる。何かがいる、それも何人もだ。
「フェア、こっちに来い」
ブラッドは警戒してフェアを呼ぶ。フェアは最初はなんで呼ばれたのか分からなかったが、ブラッドの表情を見てこれは緊急事態だと分かった。
「……何者だ。隠れてないで出て来い」
ブラッドは気配の感じる草むらにそう呼びかける。すると、
布に顔を隠した者達が次々と草むらから出てきた。




