第292話 【BLACK EDGE 其の292 アイデン】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第292話
【BLACK EDGE 其の292 アイデン】
ブラッドに近づくニキータに奇襲を仕掛けたのはアイデンだった。
「よぉ、久しぶりだな。てめ〜」
上半身半裸で紺色の髪をした男アイデンは、ニキータを知っているような口振りだった。
「知り合いなのか!? お前ら」
その様子を見たブラッドが驚くように二人に聞くが二人は答えることはない。
アイデンは剣を抜くと、ニキータに襲いかかった。
ニキータはアイデンから距離を取ろうと後ろに下がる。だが、アイデンはそんなニキータを追いかけてすぐさま追いついた。
「っ!!」
アイデンが剣を振る。ニキータはしゃがんでギリギリで避ける。そして避ける瞬間にアイデンの剣に触れた。
それによりアイデンの剣は重くなる。だが、それでアイデンの動きが鈍くなることはなかった。
その重たい状態のまま剣を振り、アイデンを攻撃する。重たくした後は攻撃されないと考えていたニキータは油断していたのか。
アイデンの剣を避けるのが間に合わずに切られてしまう。
「がぁ!?」
アイデンに切られたニキータは切られた腹を押さえながら地面に転がった。
「ぐっ、よくも……この私を……」
切られたニキータはアイデンを睨む。
「貴様はこのまま殺しても良いが、ここは試合の場。今回だけは見逃してやる」
ニキータはダメージからもう意識を保つのが限界だったのか。意識を失い倒れた。
すると、ブラッドの身体は軽くなる。ニキータが意識を失ったことで術が解けたようだ。
動けるようになったブラッドはアイデンに言う。
「助けてもらったってことで良いのか?」
しかし、アイデンはブラッドを睨むと、
「そういうことではない。俺は俺の目的のために戦っただけだ。貴様とこいつの戦闘は良い隙だった。お前かあいつ、どちらを先に倒すかでお前を先に倒しただけだ」
アイデンはブラッドにそう言った。
「そーかい。じゃあ、礼は言わないぞ」
「その必要はない。これからお前も俺が倒すんだからな」
そう言ってアイデンは剣をブラッドに向けた。
キースに負けたとはいえ、その実力は本物だ。ニキータをあのように倒してしまうのだから。
ブラッドは拳を握りしめると、アイデンに向かって殴りかかった。
向かってくるブラッドにアイデンは剣を振る。ブラッドはその剣を避け、アイデンの顔面を殴りつけるが、
「っ…………」
「この程度か」
アイデンは顔を殴られたというのにダメージを感じさせない。殴った腕をアイデンは掴む。
その腕力は凄まじく骨まで痛む。
ブラッドは腕を掴まれた状態でアイデンに蹴りで攻撃する。だが、アイデンはその蹴りを受けても表情は変わらない。
アイデンはブラッドを持ち上げると、場外に向けて投げ飛ばした。




