第291話 【BLACK EDGE 其の291 重力】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第291話
【BLACK EDGE 其の291 重力】
ニキータはブラッドを囲む選手を倒した後、ブラッドと向かい合った。
「黒龍の適応者。君の強さは聞いている。ガルデニアの件も報告を受けた。ポイズンの件もあるしな。ここで負けてもらうぞ」
ニキータは武器を持っておらず素手だ。そんな状態で姿勢を低くして構えた。
すると、突然ブラッドは何かに押しつぶされている感覚に陥る。
「な、なんだ……これ…………」
ブラッドはその重さに負けて身体が沈む。そんなブラッドを見て、
「それが私の術だ」
とニキータが自慢げに言った。
ニキータは割れた舞台から石ころを拾うと、
「私の力は触れたものの重力を倍にする」
ニキータは軽く石ころを投げる。最初はゆっくりと飛んでいた石だったが、ニキータが指を鳴らすと動きがおかしくなり、通常よりも落下が速くなる。
小石程度じゃ変化は激しいものではないようだが、それでも投げた時の軌道が変わっていた。
だが、ブラッドはその説明を聞いて、
「触れられた記憶はないけどな……」
とニキータの説明を疑う。
大会が始まってからブラッドはニキータに一度も触れられた記憶はない。
まずニキータに近づきすぎないようにしていた。
「さっき君を囲んでいた選手は試合中に触れた。でも、君に触れるチャンスはいくらでもあった……」
「どういうことだ……」
「さぁ? 私の能力は触れたものに対して三日間有効とだけ伝えておこう。君はこの国での三日間の生活で、本当に誰にも触れられていないと言えるか?」
つまりは大会が始まる前から目をつけていたということか。
「いつだ?」
「いつだろうな? 散歩中か、それとも屋敷で生活している時か?」
この国に来てからキースの屋敷で暮らしていることがバレている。そこまで知られているとは……。
大会のエントリーの時にグリモワールがいた。フェアとはなるべく一緒に行動するようにしていたから、大丈夫だと思っていたが、もっと警戒すべきだったか。
「さてと、そろそろ場外に落とすか……」
ニキータはそう言いながらゆっくりとブラッドに近づいてくる。その時、ニキータを横から奇襲する人物が現れる。
剣を持ちその剣をニキータに向かって振る。
それに気づいたニキータはどうにか躱すが、剣が掠ったのか片手を抑える。そしてその腕から血が流れてきていた。
「勝利を確信した時、隙が生まれる。そこをついたつもりだったんだけどな……」
「このタイミングで邪魔をするか。アイデン」




