第274話 【BLACK EDGE 其の274 準備】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第274話
【BLACK EDGE 其の274 準備】
会場に着いたブラッドとスカイはフェア達と別れて、闘技場の中へと入る。
300人の参加者が大会の準備をする控室だ。
そこでは武器の貸し出しもやっており、特定の重量未満ならば、武器や装備をつけることができる。
スカイはすでに剣を持っているため、それ以上の装備をつける気もないらしく。すぐに重量を測り、参加を認められた。
「ブラッドさんは素手ですか?」
スカイがブラッドに聞いてくる。
ブラッドならば素手で戦い切ることもできる。だが、せっかくならば武器を借りてみるのもありだろう。
ブラッドは武器を貸しているコーナーに行く。そしてそこで適当に剣を手に取ってどれが良いか見ていると、
「なんだい君、そんな汚らしい武器を持って」
使い古された剣を手に取ったところで、後ろから話しかけられた。
振り返ると白い服に立派な剣を腰に下げた長髪の男がいた。
「誰だよ……。お前には関係ないだろ」
ブラッドが無視しようとすると、
「なぁ!? 僕のことを知らないのかい?」
わざとらしく驚いて自己紹介を始めた。
「僕は美しき黄金の騎士団の団長、リトゥーンだよ!」
リトゥーンは前髪をかき分けながら格好をつける。
「はいはい、そうかい。美しき天丼の騎士さんが俺になんのようだ?」
「黄金の騎士団だ!! わざとだろ! 今のは絶対わざとだろ!!」
ブラッドが揶揄うとリトゥーンは怒る。
「はぁ、だから嫌なんだ。武器は心。僕のように美しい心の持ち主はこうして磨かれた武器しか使わない。……さっき君といた女の子、彼女が持っていた武器見たかい? あんなものを使っていたら、心まで腐ってしまうよ。さっさと捨てて仕舞えばいいのに」
さっき一緒にいた女の子。スカイのことか。
スカイの持っている剣は昔キースが使っていたものだ。賞金稼ぎ時代に使っていたもので、ブラッドもよくその武器を知っている。
屋敷で生活している時に、その剣についてスカイは嬉しそうに語っていた。
確かに長年使われていて、切れ味も悪くなっている。だが、そんな剣をスカイもキースもよく磨いて大切に使っていた。
ブラッドは手に取っていた剣を審査員に見せる。
「こいつを借りるぞ」
その剣は闘技場でよく使い古されていた武器なのか。かなり痛んでいる。
だが、使う度に修復してきたのだろう。その様子が剣にはある。
「なんだい、そんな枝を使うのかい?」
ブラッドはリトゥーンを睨む。
「ああ、武器は心って言ったよな。その本当の意味をお前に教えてやるよ」




