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BLACK EDGE  作者: ピラフドリア
274/354

 第272話  【BLACK EDGE 其の272 王女様フェア】

 BLACK EDGE



 著者:pirafu doria

 作画:pirafu doria



 第272話

 【BLACK EDGE 其の272 王女様フェア】




 ジーナスと共にお城に侵入したフェアは、ルルシアの代わりに王女様をやることになった。




「ジーナスさん、私はなにをすればいいんですか?」




 フェアが聞くとジーナスは大量の本を持ってくる。




「もう少ししたら語学の先生が来て授業をすることになっている。……まぁ、適当に誤魔化してくれ」




 ジーナスといるだけの時間は自由にできるのだが、誰かが来る時にはどうしてもその授業を受けなければならない。




 適当に誤魔化せと言われたが…………。




 フェアは実際に授業を受けることになる。




 授業は他の生徒がいる訳ではないため、完全に先生と一対一だ。




「ルルシア様、今日はどうしたのですか? いつもより間違えが多いですよ」




 グリモワールに捕まっている時、頼めば最低限の教科書などは貰えた。勉強をしたいという子供もいたため、フェアは組織に頼んでいくつかの教科書をもらい、それで子供達と勉強をしたことがあった。




 しかし、独学では限界がある。




「…………も、もしかしたら風邪かもしれません」




 フェアは誤魔化すために風邪と言う。しかし、それが裏目に出る。




「風邪ですか!? 大変です!!」




 そう言うと驚いた表情で、授業をしていた先生が外へと飛び出していく。




 そして大勢の医者を連れて戻ってきた。




「ルルシア様!! 風邪ですと!? 今すぐに治療します!!」




 大勢の医者はベッドを運んでくると、そこにフェアを寝かす。




 いくらなんでも大事だ!?




「…………あ、もう治ったかも」




 フェアはこれ以上大事にしないように言うが、




「そうとは限りません。今から治療を始めます」




「え、ちょ、ちょ!?」




 なんやかんやあり、授業を受け終えた。

 しかし、その後も授業、授業、授業。ほとんどの時間が勉強だった。




 そして全てを終えたフェアはジーナスの元に戻った。




「つ、疲れた〜」




 ジーナスはそんなフェアを見て笑う。




「ははは、王女様も大変だろ!」




「はい、もっと優雅なものだと……」




 フェアのイメージでは紅茶を飲みながら城下町を見下ろしているイメージだった。




 フェアを座らせるとジーナスはフェアにお茶を出す。




「今日のスケジュールはカットできるところは減らしたからな。ルルシア様のスケジュールはこれ以上だ」




 それを聞いたフェアは驚く。そんな驚いているフェアにジーナスはさらに喋りかける。




「昨日のクッキーはどうしたか?」




 昨日のクッキー。確かそれはルルシアからお礼だと言われて渡されたものだ。




 確か、腐っていて一口食べたが、捨ててしまった。




「た、食べましたよ!! 一応…………」




「あれを食べたのか!?」




 食べたと言ったら驚かれた。




「あれは三年前にルルシア様が作ったものだ。忙しいスケジュールの中、合間に私と一緒に作ったんだ」




 三年前…………三年前!?




「そ、そんなものを…………」




「そう言うな。あれはルルシア様にとっての宝なんだ。お城中を駆け回り、城の関係者全員にあげた。…………でも、本当に食べて欲しい人には食べて貰えなかった」




 ジーナスはそう言うとクローゼットを開ける。フェアはジーナスが開けたクローゼットを覗き込むと、




「もう一つ食うか?」




 大量のクッキーが残っていた。




「もう要りません!!」







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