第271話 【BLACK EDGE 其の271 草原へ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第271話
【BLACK EDGE 其の271 草原へ】
フェア、ジーナスと分かれたブラッドはルルシアと共にソンシティヴュ草原を目指していた。
「ブラッドさんって、フェアさんのお兄さんなんですか?」
「いや、違うが」
街を歩いている最中にルルシアが話しかけてきた。
「じゃあ、お父さんですか?」
なぜそうなる。
いつもそうだ。俺がフェアの親だと思われる。そこまで老けている訳ではないと思うが…………。
最初はお兄さんと言われて安心したが、なんでそこからお父さんになるんだよ!!
「それも違うが……」
ブラッドは怒るわけにもいかず。我慢して答える。すると今度は、
「ま、まさか、お母さん!?」
「なんでそうなるんだよ!! 流石に性別まで帰るなよ!!」
「じゃあ、なんなんですか?」
「普通に仲間だよ。旅のな」
「仲間…………ですか」
「ああ、そうだ」
そして街を進んでいき、やがてマルグリットを出ると、そこは森。そこをしばらく進むと草原に着いた。
ここがソンシティヴュ草原だ。
緑の芝生が見えなくなるまで続いている。そんな草原だ。
草原に着くと、ルルシアは草原の奥へと進む。そしてしばらく進んだところで足を止めた。
風が吹く。風により草原の草が揺れる。
「…………兄様」
ルルシアはそう言うとしゃがんで祈るような体制になった。
それを見ていたブラッドは思い出す。この草原で起きた事件を…………。
それは数年前。ルルシアの兄であるアシル王子がこの他国からの遠征からの帰り道であった。
アシル王子の遠征帰りを狙い、盗賊に襲われたのである。
遠征帰りであったとしても、アシル王子を護衛していた兵士達は精鋭ばかり、普通なら盗賊ごときに遅れを取るはずはなかった。
だが、精鋭に勝てる者がいないのならばの話だ。
その盗賊団には助っ人がいた。その人物は氷結と呼ばれる殺し屋フリーズ。
フリーズは不思議な技を使い、どんな標的でも殺すと言われる殺し屋。
噂通り不思議な技を使ったフリーズは兵士達を皆殺しにし、そして王子も殺した。
盗賊の目的は王子を殺すことだった。かつてアシル王子に捕らえられた盗賊団であり、脱走をしたことから賞金もかけられていた。
ルルシアは草原で死んだ兄に会いたかったのだろう。
普段は忙しくてくることができない。だからフェアに代わってもらってまでここに来たかった。
しばらくすると、ルルシアは立ち上がる。そして振り向くと、
「さぁ、満足です。帰りましょう」




