第270話 【BLACK EDGE 其の270 入れ替われ!?】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第270話
【BLACK EDGE 其の270 入れ替われ!?】
翌朝、ブラッドとフェアは再び王城へ向かうことになった。とはいっても正面から入ることはできない。
ブラッド達が城前を歩いてどうしようかと考えていると、路地の方から手を出てきて、来い来いと招いている。
ブラッドとフェアはお互いを顔を見て首を傾げた後、
「行ってみるか……」
とその路地へと入ってみることにしてみた。
ブラッド達が中に入ると、そこには白い仮面を被った女性がいた。
仮面には顔が描かれており、ふざけた表情をしている。
一瞬、グリモワール!? と思ったが仮面を外すと、それはジーナスだった。
「待っていたぞ。お前たち」
「ジーナスさん……」
グリモワールではなかったため、二人は安心する。そして路地の奥からは、
「昨日ぶりですね」
ルルシアが現れた。今回は動きやすい服装を選んだのか、この前とは違う。少し目立ちそうな気もするが、街中を歩き回るわけではないのでこれで問題はないのだろう。
「ブラッドさん。ですよね。お願いします」
ルルシアにそう言われてブラッドは驚く。
「え?」
ジーナスはブラッドに伝える。
「ああ、そうだ。私はフェアの面倒を見なければならないからな。ルルシア様は任せたぞ」
「おい! 王女様を知らない男に任せていいのかよ!!」
ブラッドがそう言うとジーナスはフェアの頭に手を置いて撫でた。
「こいつが人質みたいなもんだ。昨日の行動を見てれば、お前がこいつを大事にしてるのは分かった。こいつを放っておくことはないだろ」
確かにフェアをそのままにするわけにはいかない。しかし、王女様をこうして預けるのはどうなのだろうか。
こいつは本当に王女様を守る気があるのか……。自由にさせすぎな気がする。
「では私達は城に帰る。何かあったら連絡をくれ」
ジーナスはフェアを連れて昨日の抜け道へと向かう。
「…………連絡って、どうするんだよ……」
ブラッドが呟くとルルシアはポケットから何かを取り出す。そしてそれをブラッドに見せた。
「これです」
それは小さな白い笛だ。そんな笛でなにをするのか。
不思議そうな顔のブラッドに説明するように、ルルシアは、
「ついてきてください」
と言うと昨日の公園へ行く。そしてその公園で笛を吹いた。
すると城の方から一匹の白い鳥が飛んでくる。手のひらサイズの小さな鳥だ。
「私のペットのミルクです。伝えたいことがあったら紙に書いて、この子に持って行って貰えばいいんです」




