第269話 【BLACK EDGE 其の269 王女様クッキー】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第269話
【BLACK EDGE 其の269 王女様クッキー】
なんとか無事に城を抜け出すことができたブラッドとフェア、そしてジーナスは出会った公園で明日の話し合いをしていた。
「ということで、明日は頼んだぞ」
ジーナスはブラッドとフェアにそう言う。
王女様が行きたいところとはどこなのか。そのことについて疑問に思ったブラッドが聞く。
「ジーナスさん、それでルルシア様が行こうとしているところってどこですか?」
するとジーナスは真剣な表情で答えた。
「ソンシティヴュ草原だ」
ソンシティヴュ草原。どこかで聞いたことがある名前の場所だ。
だが、そこは確か…………。
そんな中、フェアが聞く。
「明日は私がルルシア様の代わりになるんですよね。本当に大丈夫ですか?」
「ああ、私が近くで指示するから、それに従ってくれれば、問題はない」
王女様と入れ替わることになったのだ。心配のはずだ……。
ブラッドはそう思いながらフェアの方を見ると、ワクワクして目を輝かせていた。
「頑張ります!」
そうだ。こんな面倒ごとに首を突っ込むってことは、それを楽しんでるってことだ。
王女様になれるなんて、そんなことは普通の人生ではあり得ない。
フェアはだから引き受けたのか……。
「では、私はルルシア様のお世話があるのでな。帰るぞ」
そう言うとジーナスは帰ってしまった。
「俺たちも戻るか」
「うん!」
フェアとブラッドも屋敷に戻る。戻る最中にフェアは貰ったクッキーの袋を開ける。すると、めっちゃ臭い。
「なんだこの匂い……」
「腐ってるね……」
そういえば、ルルシアは引き出しからクッキーを取り出した。そしていつ作ったものなのかも謎だ。
「流石にこいつは食わないほうがいいんじゃないか?」
ブラッドはフェアに言う。
前にアリエルにお茶を出された時も、こんな感じのやばい飲み物だった。
あの時はアリエルが目の前にいたため飲んだが、今はルルシアが目の前にいるわけではない。
「でも、せっかく貰ったものだし…………」
フェアはそう言うと、クッキーを一つ手に取り、匂いを嗅がないように素早く口の中に入れた。
「………………………どうだ?」
ブラッドは心配そうに聞く。すると、フェアは近くにある壁まで走る。そして、
「ブハァッ!!」
勢いよく吐き出した。腐っているとはいえ、そこまでなのか。
ブラッドはフェアの様子を見て、そのクッキーに恐怖するのであった。




