第26話 【BLACK EDGE 其の26 救い】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第26話
【BLACK EDGE 其の26 救い】
マルクは騎士に拾われた。村を焼かれ、家を失い、家族を失った彼にはこれがどれほどの救いになっただろう。
村を出て騎士達は馬を走らせる。マルクはこれがどこに向かうのか分からなかった。
マルクを乗せているのは一番後ろにいる騎士だ。
そして前にいる騎士達は後ろの少年に聞こえないように喋っていた。
「隊長、大丈夫なんですか? あの少年……」
部隊の副隊長を務める真面目そうな男騎士が聞いた。それに隊長である女騎士は答える。
「それは今考えることじゃない。それに……今は彼を守ることが先決だ」
そしてしばらく馬を進めると、砦についた。岩山の上にある砦で石レンガで作られた塔が立っている。
騎士達が帰ると仲間の兵士たちが出迎えてくれた。
「隊長、お疲れ様です」
並ぶ兵士の前に立ち、挨拶をして出迎えたのは白と水色の中間の色の髪のおっとりした感じの女性。しかし、鎧を着ているため彼女も騎士なのだろう。
それも騎士団を出迎えている他の騎士よりも位が高そうだ。
「クロエ、問題はなかったか?」
「はい。こちらは……それと、そちらの少年は?」
「マルクだ。奴らの襲撃にあった村の生き残りだ」
こうして少年は騎士に保護された。
彼女達は王国に属する騎士であるが、表立って戦う騎士ではない。
王国の護衛や戦争に参加することはなく、彼女達の役割は闇組織と戦うこと。
ここ数年で急激に拡大した犯罪組織。彼らを捕らえるのが仕事である。地方の各地に基地があり、隠れて活動をしている。
「ほら、食事だ。好きに食え」
騎士に保護されたマルクは服を借りて、ある部屋に連れてこられていた。
そこは塔の中にある小さな一部屋。真ん中に事務用の机があり、そこに肘をつけてマルクに手を差し伸べた女性が座っている。
その机の先には木箱が置かれており、パンとスープが置かれている。
騎士の人に着替えた後ここに連れてこられたが、連れてきてくれた騎士はマルクをこの部屋に入れると出て行ってしまった。今はこの部屋には二人しかおらず、その女騎士と向き合っている状態だ。
マルクが食べていいのかわからず遠慮していると、
「……飯を食ってるときの方が私は腹を割って話せると思っている。だから用意させたんだが……無理はしなくていい」
なんらかの話を持ちかけたいようだが、この女性なりの話しやすい状況を作ろうとしていたようだ。
腹は減っていたので、マルクは食事をいただくことにする。
マルクが食べ終わるのを見守った後、女騎士は喋り出した。
「私の名はメテオラという。早速だが私の弟子にならないか?」




