第245話 【BLACK EDGE 其の245 極寒の森】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第245話
【BLACK EDGE 其の245 極寒の森】
ジャングルを抜けたブラッド達は極寒の森へと入っていた。
ジャングルで馬車を失ったため最低限の荷物しか運べなかった。そのためこの寒さは結構きつい。
「まだ村まではもうもう数日かかります。それまで耐えられるでしょうか……」
隣で別の馬に乗るスカイも寒そうだ。
「まぁ、耐えるしかないな……」
寒さに耐えながらブラッド達が進んでいると、途中で木造の建物を見つけた。
建物は一階建てであり、家の隣には馬車が五台ほど並んでいた。
「馬車を売ってもらえるかな」
ブラッド達は建物の主に馬車を売ってもらおうと、建物に近づく。
建物にはラクーン商店と書かれている。馬を止めて三人は建物の中に入る。
そこには旅に必要な物から日用品まであらゆるものが売られていた。そして中から出てきたのは白髪の老人だ。
その老人の顔はどこか見覚えがある。前にも雪の降る台地であったことがある。
「ダレオさん……?」
ブラッドとフェアはその名前を呟く。
北西にある雪山について最も詳しいと言う老人で、クリスの住む屋敷への行き方を教えてくれた老人、ダレオさんにそっくりだったのだ。
二人の言葉を聞いた老人は反応する。
「…………ダレオ……だと?」
「ダレオさん、私です。北西のリス村でお会いしたフェアです」
フェアが説明すると、その老人が首を振った。
「すまんな。わしはダレオじゃない。わしはガレオ、ダレオはわしの弟じゃ」
ダレオではなくガレオと名乗った老人は、店の扉を閉めると、
「それでダレオのクソ野郎と友人のクソ野郎、わしになんのようじゃ?」
「………………」
突然の言われように驚いて固まっているブラッドとフェア。そんな言葉に腹を立てたスカイが老人に突っかかった。
「なんなんですか。あなたは!! 初めて会った人にクソ野郎だなんて、礼儀がなってません、礼儀が!!」
スカイがガレオを睨みつける。ガレオは腕を組むと、
「クソ野郎と言って何が悪い。わしはダレオの借金のせいでこんなところで商売をさせられてるんだ!! そのダレオの知り合いなんて、同じクソ野郎だろ!」
「そのダレオさんがどんな人なのか、私は知りません!! でも、ブラッドさんとフェアちゃんをそういうのは私は許しません!!」
ガレオとスカイは額をぶつけ合うと、そのまま睨み合う。今にも殴り合いの喧嘩になりそうな状況だ。
そんな中、店の奥から下駄を履いたお婆さんが出てくると、ガレオの頭を箒で殴った。
「痛い!! 何すんだよ、ナジムさん!!」
「お前が何してるんだい!! お客さんに喧嘩ふっかけるんじゃないよ!!」




