第196話 【BLACK EDGE 其の196 裏切り】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第196話
【BLACK EDGE 其の196 裏切り】
倒れたロジョンを見て、スワンはニヤリと笑った。
スワンは戦った相手であるロジョンに敬意を払うように向かい合ってしゃがむ。
そして倒れたロジョンのために少し楽な体勢で寝かせてあげようと、スワンがロジョンを持ち上げた時。
スワンの胸を光線が貫いた。黄色いビームがスワンの身体を貫通する。
スワンはその攻撃を喰らい、白目を剥いてロジョンの上に倒れた。
上に覆いかぶさったスワンをロジョンは払い退ける。
ビームを放ったのはロジョンだ。倒されたはずのロジョンが肩からビームを出し、スワンのことを撃ち抜いたのだ。
「あなたの対処にここまで苦戦するとは…………。しかし、情報通りあなたは甘い」
地面に転がったスワンをロジョンは蹴り飛ばす。意識のないスワンは抵抗することなく転がされた。
「私の目的は龍の適応者の確保…………。あなたは所詮は邪魔なだけ、どんな手段であれ消せればそれでよかった。………………まぁ、悪くはありませんでしたが……」
スワンを倒したロジョンはフェアへと近づこうとゆっくりと歩く。敵の戦力はすでにここにはいない。
あとは龍の適応者を確保するだけだ。
ロジョンがフェアへと近づこうとする中、
「ま、待ちなさい…………」
意識を失っていたはずのスワンが、意識を取り戻した。白目を剥きながら身体は動かないのに、手だけを伸ばしてロジョンを止めようとしている。
「あなたは負けたのです。くだらない信念のために。勝負に勝って、戦いに負けたのです」
ロジョンはスワンの方を向くことはない。
もうスワンが何もすることが出来ないと分かっているのだろう。
「……私は勝負は勝ったと…………?」
「今の私は非常用のシステムを起動しています。これを発動した時点であなたの勝ちです」
「…………そんな奥の手があったのね。…………でも、なら、あなたの勝ちだわ……。それも含めてあなたの力だもの」
スワンは手を伸ばす力も失い、地面に倒れたままフェアに言った。
「ごめんなさいね。約束…………守れなかったわ」
スワンはそう言った後、意識を失った。スワンが意識を取り戻している間、歩くのを止めていたロジョンは、再びフェアへと近づいてくる。
フェアは逃げることはせず、子供達を守るために自分から前に出た。
「お、おい!」
そんなフェアを見てアルファは止めようとする。でも、それでもフェアは進んだ。
「大丈夫だよ。絶対に助けに来てくれるから…………。ブラッドが…………」