第193話 【BLACK EDGE 其の193 蘇る鳥】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第193話
【BLACK EDGE 其の193 蘇る鳥】
「……違う。あの兵器は父さんのためにはならない。あんなものであの人を超えても本当に超えたことにはならない!!」
アルファはロジョンにそんなことを叫ぶ。それは誰のことなのだろうか。フェア達には分からなかった。
だが、それが赤崎が兵器を作った理由なのだろう。
ロジョンはアルファの方を向くことはなく、箒をスワンの首に当てていつでもトドメを刺せる状態だったが、
「それでも博士は止まらない。なら、完成させるのが私の役目です」
そう言うとロジョンは手を緩めてアルファの方を見た。
ロジョンの表情には迷いはなかった。迷いはなかったのだが、どこか寂しそうな目をしていた。
そんな中、スワンが動く。ロジョンとアルファが会話していたことで時間が稼げて、少しだけ回復できたのだ。
呼吸を整えると、全身に力を入れる。
そしてロジョンが乗っかっているというのにそのまま立ち上がった。
ロジョンはスワンに跨っていることが出来ず、振り落とされる前にスワンから離れた。
スワンはロジョンが離れる前に右、左と順番に拳で軽い攻撃をする。
だが、ロジョンは最初の攻撃を体をそらして避けて、次の攻撃は箒で防いだ。
スワンから振り落とされたことでバランスが崩れていたはずなのに、攻撃を躱されたことを驚く。
スワンは立ち上がると倒れた時に頭を打ったみたいで血が垂れてくる。頭から流れてきた血を舌で舐めた。
「本当に…………嫌になるわ……。こんな小さな子に打ち負けるなんて…………」
スワンはロジョンを見下ろす。スワンとロジョンの体格差は倍以上だ。平均の女性よりも小さ目なロジョンに比べて、スワンは男性の中でも大きい部類だ。
だが、そんなロジョンにスワンはパワー負けしたのだ。
「私じゃなかったら心もボロボロよ」
スワンは再び拳を握りしめると、両腕を広げた構えをした。
それを見たロジョンも箒を構える。
「私ね。実は部下よりも弱いのよ……。部下はもっと優秀で、私の能力なんて足元にも及ばない……」
スワンの筋肉は攻撃を受けたわけではないのに膨らみ出す。
「でも、それでも私は彼らの上司なの……。あの子達に情けない姿は見せられない………………」
スワンはゆっくりとロジョンへの近づく。筋肉量は上がったが、しかし、ロジョンはそれも想定済みなのだろう。動揺する様子はない。
「…………今度は負けないわ」