第183話 【BLACK EDGE 其の183 衝撃の膝枕】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第183話
【BLACK EDGE 其の183 衝撃の膝枕】
ブラッドが目を開けると目の前に褐色肌の女性がいた。下から見上げているような状況で、顔の全体ははっきりとは見えない。
だが、それでも分かることがある。その女性は美しい。風が吹くと白い髪がサラサラと靡いている。
風を煽られた髪を触った女性はふと下を見た。そしてブラッドと目があった。
女性が見た時、ブラッドは思い出す。その女のことを…………。
プロタゴニストの森で緑髪の少女を操り、森を荒らしていたクレインという女性だ。
ブラッドは口を閉じるのを忘れて、目を見開いて驚く。だが、驚いているのはブラッドだけではない。
クレインもブラッドが起きたことに気づくと、口を開いて驚いたあと、徐々に顔を赤めていく。
「お前は!!」
ブラッドは思わず立ち上がる。すると、ブラッドと頭がクレインの頭にぶつかり、二人は頭を抑えて地面を転がった。
「痛ってーなぁ!! 何しやかんだ!! 黒龍の適応者!!」
「それはこっちのセリフだ!! なんでお前が…………あんなことしてんだよ!!」
ブラッドが目覚めるとクレインに膝枕されていた。敵である女性に突然そんなことされたら恐怖でしかない。
クレインは顔を赤くして怒る。
「しょーがねぇじゃねぇか!! そうしないと傷を治せないんだよ!!」
「傷を直せないだぁ!? ………………え、傷?」
ブラッドは自分の体を見る。まだ肩などにあとは残っているが、傷が治っていた。
「まさか……お前が…………嘘だろ」
「嘘じゃねぇよ!! …………感謝しやがれってんだ!!」
クレインはブラッドに目を合わせずにそう怒鳴る。
周りを見渡すとそこはカメリアと王都を繋ぐ道から少し外れた森林。太陽の光が差し込む暖かい場所だ。
近くにはシャドーが倒れており、傷は治っているが寝ているようだ。仮面とフードが外れているため、素顔が気になるが今は見ないであげよう。
「ふふふ、俺にも感謝するんだな!」
そしてもう一人。赤毛の少女が偉そうに威張っていた。
「俺がいなければ、お前らは今頃死んでいたかもな!!」
そんな威張っているクロウの頭をクレインが叩く。叩かれたクロウは痛そうに頭を摩った。
「何すんだよ!!」
「こいつら担いだのは私だし、治したもの私だ!! お前は殆ど何もしてないだろ!!」
なぜ、クレインとクロウが一緒にいるのか。そしてなぜ助けてくれたのか、気になることは沢山ある。
だが、それよりも先に。
「なぁ、フェア達は無事か?」