第178話 【BLACK EDGE 其の178 時間稼ぎ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第178話
【BLACK EDGE 其の178 時間稼ぎ】
ビームの直撃したブラッドはビームが当たった部分が凍りつき、壁に貼り付けになった。
「…………とりあえず。確保だな……」
そう言った赤崎は影の世界から姿を見せたシャドーの方を見た。そして炎の剣のスイッチを入れる。
「あとはグリモワール。君を排除するだけだな」
シャドーは短剣を抜いて構えた。
瓦礫だらけになった地下通路には細かく無数の影が繋がっている。今の状況ならシャドーの能力も使いやすい。
しかし、ブラッドがやられてしまった今、どうするべきなのか……。
シャドーの能力は影の世界を移動するだけだ。そのため攻撃力は彼の身体能力のみである。
ブラッドの破壊力でも赤崎のプロテクターに傷を与えることはできなかった。そんなプロテクターをシャドーだけでどうにかできるのだろうか。
シャドーは短剣を構えながら赤崎との間合いを取る。
「…………博士、なぜ、俺たちを裏切った」
シャドーは赤崎に会話を始める。
「……裏切った……か。私は君達の仲間のつもりではなかったけどな」
「アルファは仲間だと言ってた。あんたは違うのか……」
「……あれは所詮は私の劣化品だ。バグは起こる。それは想定済みだ」
赤崎は剣を両手で持つとシャドーに向けて攻撃できる形で構えた。
いつでも攻撃できる体制だ。シャドーは会話をしてアルファとフェア、子供達が逃げる時間をもう少し作ろうとしたが、赤崎に会話をする気はないようだ。
「…………さようなら、グリモワールの殺し屋」
赤崎はシャドーに向けて炎の剣を振る。炎は横に広がりシャドーに向かってくる。
影の世界に逃げる。それは可能だ。影の世界に閉じ込める? しかし、影の世界からの脱出は簡単にできてしまう。
どちらにしろ。この赤崎博士を倒さなければ、この男の計画は実行される。それを阻止しなければならない。
なら……
シャドーは短剣を捨てた。そして全身に力を込める。
それは自身の影を動かす術の更なる進化系。今必要なのはその新技だ。
影を動かすだけでも身体への負担は大きい。しかし、それを超えなければ、この男は倒せない。
シャドーは影を動かした。そしてその影を赤崎のシャドーの間へと動かす。
想像する。空間に壁があると……。この赤崎との間に透明な壁があり、そこに影が現れてもおかしくないと。
「影が……動いた……」
シャドーの影は地面から浮き、影だけが空中に伸びる。そして影でできた壁が赤崎との間を塞いだ。