第176話 【BLACK EDGE 其の176 影の支配者】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第176話
【BLACK EDGE 其の176 影の支配者】
ブラッドに向かってくるビーム。避けようとしないブラッドを、シャドーが能力を利用してブラッドを影の世界に半分沈めて避けさせた。
「……何やってんだ…………」
シャドーはブラッドに言うが、ブラッドは返事をするわけじゃない。
「…………これは……。君の仕業か……」
ビームを避けたブラッドを見て、赤崎がシャドーに言った。
トラックで避けた瞬間しかシャドーの能力を見ていない赤崎にとっては、シャドーの能力は未知の能力だ。
そしてそれはブラッドだけではなく赤崎をも沈める。
ブラッドは下半身が影の世界に沈んでおり、赤崎は足首まで影の世界に沈んでいる状態だ。
シャドーの能力は影の世界と現実世界を行き来することができる。しかし、途中で侵入を止めれば、こうやってターゲットの動きを封じることができる。
赤崎の剣は手を伸ばしても届かない位置にある。肩から出してきたビームもあるが、シャドーにとって厄介だったのは光を発する炎の剣だ。
そのため現状はシャドーの方が有利だと考えていた。
シャドーは短剣を握りゆっくりと赤崎の方へと歩いていく。
「これは……空間系の能力か……」
足が動かなくなっている赤崎がシャドーの能力を分析する。だが、影で動きを封じたのだ。
能力がバレても問題はない。
シャドーが赤崎に向かって歩いている最中、ブラッドが叫び声を上げた。その声はまるで猛獣のような声だ。
「……ブラッド?」
この時、ブラッドは影の世界に送ってしまっておけば良かった。
ブラッドは影の世界から無理矢理下半身を抜け出す。そして全身を外に出した。
そしてシャドーの方を向くと、襲いかかってきた。
「……おい、何のつもりだ」
シャドーは影の中を移動してブラッドの攻撃を避ける。
シャドーの声はブラッドには届いていない。そんな二人の様子を見て赤崎が笑った。
「そうか、それだけのエネルギーを一気に使えば、普通の人間じゃコントロールができないか」
やっと赤崎から炎の剣を封じ、そして動きを抑えた。これがチャンスだというのに、ブラッドに邪魔をされる。
シャドーがブラッドの攻撃を避けていると、施設に異変が起きる。
天井が崩れ出したのだ。
ブラッドが龍の力を解放した時に、空いた穴でバランスが崩れてしまったのだ。
天井が砕けて、地下に光が差し込んでくる。
すると、シャドーの影と繋がっていた影が分断されて、赤崎の拘束が溶けてしまう。
「……ふむ、光に弱いか……」
赤崎が脱出してしまった。