第174話 【BLACK EDGE 其の174 影を作れ】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第174話
【BLACK EDGE 其の174 影を作れ】
ブラッドが前に出ると赤崎は警戒する。
龍の力について研究しているからこそ、その力の強大さを知っている。そして油断できないと分かっている。
「……さっさとそこのグリモワールの殺して、君を回収したいんだがね。…………その顔は何か策があるか……」
そしてブラッドの表情を見て、何か作戦があると気づいた。
赤崎は炎の剣の出力を上げる。
「そろそろ君たちに付き合うのも飽きた。……その作戦ごと燃やし尽くそう」
赤崎は炎の剣を両手で握り構えた。
「良いのか、そんな攻撃をして……俺が死んじまうかとよ」
「そうはならないさ。……手加減はできてる。でも、それはそれで君にとっては満足のいく状態の保証はないがね。……私としては君の力を利用するだけなのだから」
「そうか……」
ブラッドは右手を胸の高さに上げると、強く握りしめて力を込める。すると、黒いオーラが右手を包み込む。
「…………それが龍の力か……素晴らしいエネルギーだ。その力があれば、私の理想は完成できる」
「そうはさせないさ。この力はお前如きにどうにかなる代物じゃない」
そして黒いオーラを溜めた拳を上に突き上げた。
「解放ッ!!」
ブラッドの腕から黒いオーラが天高く飛んでいく。それは龍の姿になると、天井を突き壊して空へと飛んでいった。
穴の空いた地下に太陽の光が差し込む。
そんな中、天に飛んでいった龍が勢いよく戻ってくる。その龍はブラッドのことを食べるように飲み込むと、凄まじいエネルギーを周囲に放つ。
地下の中に突風が吹く。シャドーはこの突風で立っているのがやっとの状況だ。赤崎は装備の力を利用して問題なく立っている。
「これは……」
爆風が吹き終えると、シャドーはブラッドの姿を見て驚愕する。
ブラッドの全身を黒いオーラが包んでおり、ブラッドの周囲にはバチバチと小さな電気が発生している。
「……ドラゴンインストール」
ブラッドの姿を見た赤崎は嬉しそうに笑う。
「素晴らしい!! 良い!! 凄いぞ!! これが龍、本来の力か!! これだけのエネルギーを瞬間的とはいえ、引き出すことができるとは!!」
そんな嬉しそうにしている赤崎に向かってブラッドは走り出す。
赤崎はすぐに攻撃を仕掛けられると分かっていたのか、一秒もかからない間に近づいてくるブラッドに向けて剣を振る。
しかし、ブラッドは高温の剣に切られたというのに、無傷のまま赤崎の前に現れた。
「っぐぁ!!」
そして赤崎の顔面を殴りつける。