第172話 【BLACK EDGE 其の172 共闘、影と黒】
BLACK EDGE
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第172話
【BLACK EDGE 其の172 共闘、影と黒】
トラックはブラッドとシャドーを置いて地上を目指す。
そのトラックを見ながら赤崎はシャドーに言う。
「君が残る必要はなかったんじゃないかな?」
シャドーはフードの中から短剣を取り出した。
「さっきも言っただろ。ブラッドを倒すのは俺だ。お前にはくれてやんねぇよ」
ブラッドとシャドーが赤崎を挟み撃ちするような体制になる。
通路はトラックが一台通れる程度の大きさ。幅は広くはない。そのため挟み撃ちできている現状はかなり有利なはずだ。
赤崎も流石に二対一の現状は厳しいのか、さっきとは違い警戒している様子だ。
赤崎は二人を警戒しながらゆっくりと左の壁の方へと退がっていく。
二人を前方に入れたいのだろう。真ん中から端っこへと移動する。
このままでは挟み撃ちにした意味がない。二人は近づこうとするが、赤崎が横に剣を振って二人を近づけない。
赤崎の炎の剣は余裕で壁の反対側まで届いてしまう。そのため簡単には近づけない。
このままではブラッドとシャドーは攻撃ができない。
シャドーは能力を使って、赤崎の背後に回り込みたいのだが、赤崎の剣が光を発していることで影は赤崎とは反対側に伸びてしまっている。
そのため影の中を移動しても、赤崎には近づくことができない。
この状態で待っていても何もできないと感じたブラッドが動く。
赤崎に向かって真っ直ぐ突進する。赤崎は剣を横に振り、ブラッドの接近を防ごうとするが、ブラッドは高くジャンプすると炎の剣を飛び越えた。
そして今回狙っているのは赤崎だ。それに彼の背中は壁。これ以上距離を取ることはできない。
着地したブラッドは赤崎の目の前まで近づけた。ブラッドは拳を握ると赤崎の腹を殴る。
しかし、赤崎の身につけているプロテクターが強固であり、全然ダメージを与えられない。
赤崎の身体はブラッドのパンチで宙に浮いたが、ダメージのない赤崎は殴られたと同時に剣を持っていない手でブラッドの胸ぐらを掴んだ。
そしてブラッドを投げ飛ばす。赤崎の身体能力ではない。赤崎の身につけている機械がブラッドを投げる動作をしたときに、肘の部分から蒸気を発射して赤崎の動作を強化したのだ。
それによりブラッドの身体はシャドーを通り過ぎて、通路を斜めに飛んでいき、赤崎のいる壁とは反対側の壁にぶつかった。
ブラッドが当たった衝撃で壁に大きな痕が残る。
「ブラッド!!」
シャドーがブラッドを心配する中、投げ飛ばした赤崎は投げ飛ばした手を汚いものを触ったように振る。
「少しやりすぎたか。大事な適応者を殺してしまっては意味がないな」